著者
松田 千登勢 長畑 多代 上野 昌江 郷良 淳子
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-91, 2006-03-01

本研究の目的は認知症高齢者をケアする上で,看護師がどのような感情を抱きながら関わっているのかを明らかにし,サポートの視点を見出すことである。介護老人保健施設,老人認知症専門病棟,特別養護老人ホームで重度の認知症高齢者をケアする看護師9名を対象に,研究の同意を得た上で,半構成質問紙を用いた面接調査を行った。その結果看護師の感情として,1)「なんでそんなことするの」という怒り,2)認知症高齢者の言動への困惑,3)言動に対する対応への困惑,4)身体症状の判断への自信のなさ,5)自分のケアを評価できない不安,6)自分の思うケアができないジレンマ,7)責任の重さへの不安,8)ケアへの達成感のなさの8つが明らかになった。
著者
山田 和子 上野 昌江 柳川 敏彦 前馬 理恵
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

目的:4か月児健康診査(以下、「4か月」とする)、1歳6か月(以下、「18か月」とする)における母親の育児不安とその関連要因を明らかにするとともに、都市部と郡部の育児の違いを明らかにすることで、乳児からの育児支援の方法について検討する基礎資料を得ることを目的とする。調査方法:調査対象はA市(以下、「郡部」とする)の平成20年7月~12月生まれの児を持つ母親とした。調査方法は健診の問診票を送付時に本調査の調査票を同封してもらい、健診時に回収した。育児不安得点を平均点により2分して比較した。結果:調査の回収は4か月107名(回収率97.3%)、18か月103名(回収率92.8%)であった。4か月において、育児不安が強い群の方が、児への気持ち得点、母性意識得点は、有意に否定的であった。育児で心配なことも育児不安が強い群の方が有意に心配なことが多かった。郡部と都市部を比較すると、育児不安得点は、郡部の方が都市部より低かった。児への気持ち得点は、郡部の方が都市部より子どもへの否定的感情が弱かった。4か月と18か月の育児不安得点との相関をみたところ、4か月時に育児不安がある母親は18か月時点でも有意に育児不安があった。18か月において、育児不安が強い群の方が夫の育児参加や話しすることが有意に少なかった。まとめ:4か月で育児不安がある母親は18か月でも育児不安があることが多いことより、乳児期早期からの育児支援の必要性が示唆された。さらに、育児不安の状況は地域により異なることより、各地域の状況に応じた育児支援対策を行うことが必要である。