著者
松田 千登勢 長畑 多代 上野 昌江 郷良 淳子
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-91, 2006-03-01

本研究の目的は認知症高齢者をケアする上で,看護師がどのような感情を抱きながら関わっているのかを明らかにし,サポートの視点を見出すことである。介護老人保健施設,老人認知症専門病棟,特別養護老人ホームで重度の認知症高齢者をケアする看護師9名を対象に,研究の同意を得た上で,半構成質問紙を用いた面接調査を行った。その結果看護師の感情として,1)「なんでそんなことするの」という怒り,2)認知症高齢者の言動への困惑,3)言動に対する対応への困惑,4)身体症状の判断への自信のなさ,5)自分のケアを評価できない不安,6)自分の思うケアができないジレンマ,7)責任の重さへの不安,8)ケアへの達成感のなさの8つが明らかになった。
著者
郷良 淳子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.4, pp.181-187, 2010-03-18

30年近く入院している非定型精神病の女性患者Aさんとの語りを中心としたケーススタディーから、患者の「退屈」と「現実感覚を促す看護」について考察した。Aさんは、強迫症状を持ち、医療者にとって理解が困難な患者であった。しかし、散歩を中心とした看護者である筆者との週1回の1年半の関わりにおいて、理解困難と思われた精神症状の意味と健康的側面を見出すことができた。理解困難と思われる症状は、患者が訴えない「退屈」という症状である可能性が示唆され、散歩は、不安の伴わないメリハリのきいた時間感覚と現実感覚を持つことに繋がっていると考えられた。理解困難と思われる患者とも理解可能という信念を持ち、患者が語れる機会を提供すること、患者の語りと患者の行動と生きてきた歴史をつなげて理解することが、慢性期の精神科患者のケアのあり方を探る上で重要であることが示唆された。
著者
郷良 淳子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.4, pp.181-187, 2010-03-18

30年近く入院している非定型精神病の女性患者Aさんとの語りを中心としたケーススタディーから、患者の「退屈」と「現実感覚を促す看護」について考察した。Aさんは、強迫症状を持ち、医療者にとって理解が困難な患者であった。しかし、散歩を中心とした看護者である筆者との週1回の1年半の関わりにおいて、理解困難と思われた精神症状の意味と健康的側面を見出すことができた。理解困難と思われる症状は、患者が訴えない「退屈」という症状である可能性が示唆され、散歩は、不安の伴わないメリハリのきいた時間感覚と現実感覚を持つことに繋がっていると考えられた。理解困難と思われる患者とも理解可能という信念を持ち、患者が語れる機会を提供すること、患者の語りと患者の行動と生きてきた歴史をつなげて理解することが、慢性期の精神科患者のケアのあり方を探る上で重要であることが示唆された。
著者
船越 明子 アリマ 美乃里 郷良 淳子 田中 敦子 土田 幸子 土谷 朋子 服部 希恵 宮本 有紀
出版者
三重県立看護大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、児童・思春期精神科病棟に入院中の子どもに対して、エビデンスに基づいた効果的な看護ケアを提供するための看護援助ガイドラインを開発することである。看護ケア実施時の困難、疑問点について自記式質問紙調査を行い、ガイドラインに含むべきクリニカルクエスチョンを抽出した。文献検討と臨床家へのヒアリング調査を行い、クリニカルクエスチョン毎にエビデンスを整理し、『児童・思春期精神科病棟における看護ガイドライン 児童・思春期精神科病棟の看護 基本のQ&A』を作成した。