著者
松田 宙 岩瀬 和裕 藤井 眞 西川 和宏 島田 和典 田中 康博
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2687-2691, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

患者は40歳,女性.人間ドックで後腹膜腫瘤を指摘され,当センターを受診した.腹部CTでは膵体部頭側に38×25mm大で石灰化を伴った造影される腫瘤を認めた.腹部MRIで腫瘤はT1で低信号,T2で淡い高信号を呈し,比較的濃染された.以上より腫瘤は血流豊富で石灰化を伴う後腹膜腫瘍であり,後腹膜原発神経原性腫瘍や悪性腫瘍の可能性も否定できないため,腹腔鏡下腫瘍摘出術を行った.術中腫瘍後面の剥離に難渋し出血も認めたため,開腹に移行して腫瘍を摘出した.肉眼所見では4×3cm大で被膜に覆われ,割面は淡褐色で一部石灰化による灰白色部分の混在を認めた.組織学的にはhyaline vascular型Castleman病と診断された.リンパ増殖性疾患であるCastleman病は腹部領域に石灰化を伴って発生することは極めて稀であり報告した.
著者
出口 幸一 西川 和宏 岩瀬 和裕 川田 純司 吉田 洋 野村 昌哉 玉川 浩司 松田 宙 出口 貴司 田中 康博
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.1186-1190, 2013 (Released:2014-12-25)
参考文献数
18

症例は85歳,男性.2006年に胃癌に対し幽門側胃切除術を施行された.術後補助療法としてUFTを1年間施行した.2009年7月に左副腎転移,傍大動脈リンパ節転移が判明し,化学療法を開始し一旦は腫瘍縮小を認めた.しかし徐々に腫瘍が進行し2011年7月には右副腎転移が出現した.2012年1月に誤嚥性肺炎を発症し入院した.入院後倦怠感悪化,食欲不振,難治性低Na血症,高K血症,好酸球増多症を認めた.当初癌性悪液質による症状を疑ったが,副腎不全も疑われたため,迅速ACTH負荷試験を施行し,Addison病と診断した.hydrocortisonの投与を開始したところ,症状の著明な改善を認めた.癌末期に副腎不全が発症した場合,症状が癌性悪液質によるものと酷似するため鑑別が困難である.両側副腎転移を有する担癌症例では,副腎不全を念頭におき,積極的に内分泌的検索を行うことが重要である.
著者
松田 宙 水島 恒和 西村 潤一 清水 重臣
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

オートファジーの減弱は、過剰な炎症応答を介して腸管炎症に影響することが知られ、オートファジー誘導が腸炎緩和に寄与するとの報告がある。そこで、天然成分ライブラリよりオートファジー活性物質をスクリーニングした内、腸管炎症緩和効果を有する3物質を同定した。最も活性の高かったサンプルAでは、腸管マクロファージにおいて、オートファジーの誘導を介した炎症性並びに抗炎症性サイトカインの産生調整が腸炎緩和に寄与したことを確認した。さらには、サンプルAに含まれるエラグ酸、ガリル酸、カテキン酸といったタンニン類がオートファジー誘導を介した腸炎緩和に主要な役割を担うことが示唆される結果を得た。