著者
田中 千恵 水野 樹 西村 潤一 松田 圭二 村田 幸平 岡 志郎 吉田 好雄 吉田 陽一郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.391-400, 2021 (Released:2021-06-29)
参考文献数
90
被引用文献数
1

本稿では,プレフレイル高齢大腸がん患者に対する外科治療について述べる.高齢大腸がん患者に対して外科治療を行う際は適切な術前評価と術中評価が重要である.術前の身体機能低下・認知機能低下・低栄養・併存症・多剤併用・骨格筋量の低下は術後合併症や死亡のリスク要因となる.術中は輸液量制限や目標思考型輸液管理に基づいた輸液管理と脳波モニタリングによる厳密な麻酔深度管理を行い,低体温症や皮膚,筋肉,神経,循環障害を予防することが術後合併症の低減につながる.しかし,リスク因子の程度と術後合併症の関連に関する質の高い論文は存在しない.またプレフレイル患者に対して標準治療が困難である場合,手術侵襲の減弱により手術治療が許容されるかどうかに寄与するデータも存在しない.これらの問題点を解決するためには,網羅的な高齢者総合的機能評価のデータの蓄積と解析が必要である.
著者
松田 宙 水島 恒和 西村 潤一 清水 重臣
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

オートファジーの減弱は、過剰な炎症応答を介して腸管炎症に影響することが知られ、オートファジー誘導が腸炎緩和に寄与するとの報告がある。そこで、天然成分ライブラリよりオートファジー活性物質をスクリーニングした内、腸管炎症緩和効果を有する3物質を同定した。最も活性の高かったサンプルAでは、腸管マクロファージにおいて、オートファジーの誘導を介した炎症性並びに抗炎症性サイトカインの産生調整が腸炎緩和に寄与したことを確認した。さらには、サンプルAに含まれるエラグ酸、ガリル酸、カテキン酸といったタンニン類がオートファジー誘導を介した腸炎緩和に主要な役割を担うことが示唆される結果を得た。
著者
神藤 由美 西村 潤一 深田 睦 坂上 直子
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.39-43, 2018

<p>症例は24歳女性.路上に倒れているのを通行人に発見され,救急搬送された.来院時,腹部に刺創を認め,ショック状態であったため,緊急開腹止血術(肝縫合,中結腸動脈結紮)が施行された.第5病日のCTで上腸間膜動脈(SMA)仮性動脈瘤(SMAPA)とSMA–空腸静脈(JV)廔(SMAJVF)を認めた.SMAPAは経時的に増大を示したため早急な治療が必要と判断した.CTの計測でSMAPAの中枢・末梢側正常血管径が6.5・6.4 mmとほぼ一定で,1st空腸動脈(JA)分岐直後,SMAPAネック近位端,同遠位端,2nd JA分岐直前のそれぞれの間隔は13, 6, 9 mmで,計28 mmであった.7 mm径25 mm長のVIABHANを用いれば分枝閉塞なくSMAPAをカバー可能と考えた.第29病日にSMAへのVIABAHN留置とSMAPA塞栓術を施行し,併発症なく治療し得た.</p>