著者
槇原 博史 四方 賢一 国富 三絵 土山 芳徳 四方 賢一 山地 浩明 林 佳子 槙野 博史
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

腎組織へのマクロファージの浸潤は、白血球表面に発現する細胞接着分子が糸球体と間質の小静脈の内皮細胞に発現するICAM-1やセレクチンなどの細胞接着分子と結合することによっておこる。本研究では、糸球体腎炎や糖尿病性腎症の腎組織における細胞接着分子発現のメカニズムを明らかにするとともに、これらの細胞接着分子の結合を阻害してマクロファージの浸潤を抑制する新しい腎疾患治療法(抗接着分子療法)の開発を目指した。本研究の結果、1)糸球体腎炎および糖尿病性腎症患者の腎組織にはICAM-1、E-セレクチン、P-セレクチンが糸球体と間質に発現し、マクロファージやリンパ球の浸潤を誘導していることを示した。2)糸球体過剰濾過により糸球体内皮細胞にICAM-1の発現が誘導され、マクロファージの浸潤を誘導することを示した。3)尿細管上皮細胞に存在するL-selectinのリガンドが尿細管障害にともなって間質の小静脈壁に移動し、マクロファージに発現するL-selectinと結合することによって間質へのマクロファージの浸潤を誘導するというユニークなメカニズムを明らかにした。さらに、このL-セレクチンのリガンドの一つがsulfatideであることを示した。4)L-およびP-セレクチンのリガンドであるsulfatideを投与することにより、腎間質への単核球浸潤と組織障害が抑制できることを示した。5)prostaglandin I2がICAM-1の発現を抑制することによってラットの半月体形成性腎炎に対する治療効果を示すことを示した。これらの結果より、ICAM-1やP-およびL-selectinが腎組織へのマクロファージとリンパ球の浸潤に重要な役割を果たしており、接着分子の結合を阻害することによって糸球体および間質への単核球の浸潤を抑制できることが明らかになるとともに、腎疾患に対する抗接着分子療法の臨床応用の可能性が示された。
著者
渡辺 麻衣子 加藤 裕子 戸上 敬子 山中 実喜子 若林 佳子 小川 裕由 稙田 裕子 後藤 慶一 工藤 由起子 天野 典英 横田 明
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.82-87, 2008-04-30 (Released:2008-05-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 3

Byssochlamys spp. について,簡便,迅速かつ正確に種を同定するために有効な遺伝子指標を評価する目的で,26株のByssochlamys spp. および関連菌種の18S rDNA, 26/28S rRNA遺伝子D2領域およびlys2 の塩基配列を決定し,分子系統解析および相同性解析を行った.その結果,いずれの遺伝子を用いても,その塩基配列の相同性を指標として,それぞれの菌種あるいはグループを識別することができた.3種類の遺伝子のうち,最も優れた解像度を有するのはlys2 であったが,最も簡便に結果を得ることができたのは26/28S rDNA D2領域であった.また,分子系統解析の結果,Byssochlamys spp. とその関連菌種は再分類の必要性があることが示唆された.