著者
赤木 博文 小坂 道也 福島 邦博 土井 彰 笹木 牧 小川 晃弘 西崎 和則 増田 游 松田 充浩 四方 賢一 槇野 博史 清水 順子 杉山 信義
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.253-260, 1997-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
3

口蓋扁桃摘出術を施行し, 6ヵ月以上経過観察できたIgA腎症47例を対象に, 治療成績と予後予測因子を検討し, 次の結果をえた.1. 扁摘後の最終観察時点での寛解率は, 尿蛋白61.7%, 尿潜血44.7%で, 尿蛋白・尿潜血ともに, 観察期間が長いほど低下傾向にあった.2. 腎病理組織所見の軽症例は, 重症例よりも尿蛋白の寛解率が高かった.3. 扁桃誘発試験陽1生例は, 陰性例よりも尿蛋白の寛解率が低かった.4. IgA腎症の発症年齢, IgA腎症発症から扁摘までの期間, Ccrは, 尿蛋白寛解例と非寛解例の間で有意差を認めなかった.
著者
山下 哲二 岡田 震一 河本 順子 河本 紀一 肥田 和之 國富 三絵 土山 芳穂 杉本 光 和田 淳 四方 賢一 槇野 博史
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.319-323, 2002-05-30
被引用文献数
13 10

症例は71歳, 男性. 45歳時に糖尿病と診断された. 64歳時よりsulfonylurea剤を, 70歳時よりインスリンによる治療を開始した, 1998年1月, 糖尿病性ケトアシドーシスを発症し近医に入院となった. 経静脈的にインスリンが投与されケトーシスは改善した. 皮下インスリン注射による強化療法に変更し, 投与量を漸増したところ早朝低血糖および日中高血糖傾向が強まった. 抗インスリン抗体陽性であり, 精査目的にて当科入院となった. euglycemic hyper insulinemic clamp study にて血糖を100 mg/d<I>l</I>にクランプし0.5 mU/kg/minから10 mU/kg/minへとインスリン注入率を増量したところ, ブドウ糖注入率は2.O mg/kg/minから3.5 mg/kg/minに上昇するのみであった. Total IRiは著明に上昇したが, free lRl はわずかな上昇にとどまった. インスリン減量により, 早朝低血糖は消失し, さらにステロイドホルモン内服投与により, 日中高血糖も改善した. 抗インスリン抗体が早朝低血糖および日中高血糖に関与した症例と考えられた.
著者
槇原 博史 四方 賢一 国富 三絵 土山 芳徳 四方 賢一 山地 浩明 林 佳子 槙野 博史
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

腎組織へのマクロファージの浸潤は、白血球表面に発現する細胞接着分子が糸球体と間質の小静脈の内皮細胞に発現するICAM-1やセレクチンなどの細胞接着分子と結合することによっておこる。本研究では、糸球体腎炎や糖尿病性腎症の腎組織における細胞接着分子発現のメカニズムを明らかにするとともに、これらの細胞接着分子の結合を阻害してマクロファージの浸潤を抑制する新しい腎疾患治療法(抗接着分子療法)の開発を目指した。本研究の結果、1)糸球体腎炎および糖尿病性腎症患者の腎組織にはICAM-1、E-セレクチン、P-セレクチンが糸球体と間質に発現し、マクロファージやリンパ球の浸潤を誘導していることを示した。2)糸球体過剰濾過により糸球体内皮細胞にICAM-1の発現が誘導され、マクロファージの浸潤を誘導することを示した。3)尿細管上皮細胞に存在するL-selectinのリガンドが尿細管障害にともなって間質の小静脈壁に移動し、マクロファージに発現するL-selectinと結合することによって間質へのマクロファージの浸潤を誘導するというユニークなメカニズムを明らかにした。さらに、このL-セレクチンのリガンドの一つがsulfatideであることを示した。4)L-およびP-セレクチンのリガンドであるsulfatideを投与することにより、腎間質への単核球浸潤と組織障害が抑制できることを示した。5)prostaglandin I2がICAM-1の発現を抑制することによってラットの半月体形成性腎炎に対する治療効果を示すことを示した。これらの結果より、ICAM-1やP-およびL-selectinが腎組織へのマクロファージとリンパ球の浸潤に重要な役割を果たしており、接着分子の結合を阻害することによって糸球体および間質への単核球の浸潤を抑制できることが明らかになるとともに、腎疾患に対する抗接着分子療法の臨床応用の可能性が示された。
著者
守田 吉孝 槇野 博史 太田 康介 和田 淳 四方 賢一 柏原 直樹 池田 修二 小倉 俊郎 太田 善介
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.832-838, 1994 (Released:2011-07-04)
参考文献数
16

Effect of heparin and low-molecular-weight heparin (LMWH) were evaluated on 15 patients with proliferative glomerulonephritis with various degrees of sclerosing legion. Five cases were subcutaneously administered with 7000 to 11000 units of heparin for 4 weeks. Ten cases were administered with 60 unit/kg of LMWH by drip infusion for 4 weeks. Eleven cases were treated with prednisolone and all cases were treated with anti-platelet agent as well. Urinary protein excretion reduced from 3.0±1.8 to 1.8±0.6g/day in the heparin-treated group and from 2.4±1.9 to 1.8±1.4g/day in the LMWH-treated group, respectively. There were no remarkable changes in the renal functions of both groups. In one case, both heparin and LMWH brought about reduction of proteinuria. Therefore, LMWH reduced urinary protein excretion by the same mechanism as heparin. The LMWH has an advantage over heparin in that the former has less risk of causing bleeding. We conclude that heparin and LMWH reduce proteinuria in some patients with proliferative glomerulonephritis. The LMWH is beneficial in the treatment of proliferative glomerulonephritis with a sclerosing lesion.
著者
四方 賢一
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々は過去の一連の研究によって、糖尿病性腎症の成因に炎症(microinflammation)が関与していることを明らかにした。本研究の目的は、糖尿病性腎症の成因に関与する炎症関連分子を探索するとともに、microinflammationをターゲットとした腎症の新しい治療薬を開発することである。Oeteopontinノックアウトマウスに糖尿病を惹起して、腎障害の進展を野生型マウスと比較解析することにより、osteopontinが腎症の進展に深く関与しており、腎症の治療標的となる可能性が示された。また、GLP-1受容体が糸球体内皮細胞や単球/マクロファージに発現しており、糖尿病ラットにGLP-1受容体作動薬を投与することによって抗炎症作用を介して腎障害が抑制されたことから、GLP-1受容体作動薬が腎症の治療薬として有望であることが確認された。