著者
木下 真佐子 橋爪 圭司 渡邉 恵介 林 浩伸 古家 仁
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.475-481, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
22
被引用文献数
1

【目的】髄液漏出の検出にRI脳槽造影やCT脊髄造影が用いられるが,両者の直接比較はない.国際頭痛分類基準を満たす特発性低髄液圧性頭痛18症例で両検査の所見を比較した.【方法】対象は男/女=8/10,平均年齢41.7歳,特に誘因なく典型的な起立性頭痛を発症し,造影脳MRIにて全周性硬膜増強を認め,硬膜外自家血パッチで治癒し,特発性低髄液圧性頭痛と診断された.RI脳槽造影は腰椎穿刺してインジウム111を投与し経時的にカウントし,CT脊髄造影はイオヘキソール10 mlを髄腔内注入し全脊椎CTを撮影した.【結果】RI脳槽造影で間接所見(早期膀胱集積,上行遅延)は全症例でみられたが,直接所見(傍脊椎集積)は12症例(検出率67%)であった.CT脊髄造影では,傍脊椎集積を認めなかった6症例を含め全症例で造影剤の硬膜外貯留を認め,その部位は主に頸・胸椎であった.RI脳槽造影は,腰・仙椎の正常神経根鞘を検出した場合があった.【結論】CT脊髄造影による硬膜外貯留の証明は,現に今,漏出している髄液瘻の存在を意味する.典型的な髄液漏出の診断には,RI脳槽造影よりもCT脊髄造影が鋭敏であった.
著者
林 浩伸 川口 昌彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.262-268, 2017-03-15 (Released:2017-04-21)
参考文献数
11

術中視覚機能モニターとして,視覚伝導路からの電位を測定する視覚誘発電位(VEP)がある.VEPとは網膜に視覚刺激を与えたときに大脳視覚領に生ずる反応である.全身麻酔下での視覚刺激は,フラッシュ刺激によって網膜を照射する.近年,全身麻酔下でのVEPが普及するようになった背景として,LEDを用いることで網膜を強くフラッシュ刺激することが可能になり,VEPの抑制効果が少ないプロポフォールを用いることで安定した記録が行えるようになったことがあげられる.さらに,フラッシュ刺激が網膜に確実に到達していることを確認するためにVEP記録と同時に網膜電図の記録を併用することで,全身麻酔下VEPの信頼性が高まった.