著者
遠藤 芳徳 林 浩嗣 井川 正道 山村 修 大倉 清孝 濱野 忠則
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.142-145, 2020 (Released:2020-02-27)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

症例は22歳の女性である.持続する嘔気を繰り返したため入院した.入院後,失神発作を繰り返し,発作性洞停止を認めた.体外ペーシング挿入後,失神発作は消失したが,回転性めまい,眼振,複視,四肢異常感覚が新たに出現した.MRIでは延髄背側に異常信号をみとめた.血清中抗アクアポリン4抗体が陽性であり,視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD)と診断確定した.ステロイドパルス療法を2クール施行したところ,症状は改善した.以上より今回の洞停止はNMOSDの最後野症候群の一つの症状と考えられた.発作性洞停止の原因としてNMOSDの可能性も考慮すべきである.
著者
北崎 佑樹 浅野 礼 林 浩嗣 山村 修 田邉 佐和香 濱野 忠則
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.874-877, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
10

症例は56歳男性.右上下肢の脱力が出現し,翌日に当科外来を受診.頭部MRIで左内包後脚と橋右側に新鮮梗塞が認められ入院となった.胸背部痛,血圧の左右差はなく,頸部血管超音波で解離を示唆する所見はなかった.D-dimerが2.4 μg/mlと上昇し,胸腹部造影CTを実施したところ偽腔内に血栓を伴うStanford A型大動脈解離を認めた.両側の総頸動脈には異常がなく,第27病日に上行大動脈人工血管置換術を施行した.穿通枝領域を含む複数の血管支配領域に脳梗塞を認め,D-dimerの上昇を伴う場合は胸背部痛や血圧の左右差がなくとも大動脈解離が存在する可能性を念頭に置くべきである.
著者
寺坂 晋作 竹原 康浩 高畠 靖志 宇野 英一 土屋 良武 林 浩嗣 山村 修 青竹 康雄
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.735-739, 2007-11-25 (Released:2009-02-06)
参考文献数
7
被引用文献数
8 7

脳卒中リハにおいて予後予測は重要なテーマである. 今回, 急性期脳卒中患者の予後についてFIMを用いて検討した. 2005年4月から1年間の脳卒中患者208例 (くも膜下出血は除外) のうち, 入院から2週経過時の運動FIMが80点未満の123例を対象とした. 2週時運動FIMより70~79点, 50~69点, 50点未満の3群に分類し, 運動FIM50点未満の83例は, 運動FIM利得15点以上の高回復群 (30例) と14点以下の低回復群 (53例) に細分類した上で, 運動FIMと認知FIM, 自宅復帰率, 歩行獲得率, 在院日数を比較した. 2週時運動FIM50点以上のセルフケア自立群と半介助群では, 退院時運動FIMがそれぞれ80.9, 72.7, 歩行獲得率は100%, 90.9%であり退院までに高いADL獲得が可能であった. 50点未満の全介助群では退院時運動FIMは38.8, 歩行獲得率36.1%と前2群に比べ低値であった. 全介助群のうち高回復群の2週時認知FIMは24.2であり, 低回復群の12.5に比べ有意に高かった. 2週時運動FIMが50以上であれば高いADL獲得が可能である. 2週時運動FIMが50未満であっても認知FIMが高ければ, その後高いADL獲得の可能性が示唆された.