著者
河野 和明
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.115-121, 2001-07-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
28
被引用文献数
2 6

自己隠蔽尺度 (SCS; Larson & Chastain, 1990) を日本語に翻訳し, さらに新たな項目を加えたうえで取捨選択し, 日本語版自己隠蔽尺度を作成した。これに, 木田ら (1993) が開発した刺激希求尺度を加えて, 身体症状尺度との関係を検討した。友人の数, 親友の数, 雑談頻度, 外的刺激希求尺度を統制したうえで, 内的刺激希求尺度と自己隠蔽尺度は自覚的な身体症状と有意な相関を示した。この結果は, 隠蔽した嫌悪的記憶の量と記憶へのアクセス頻度が積極的抑制 (Pennebaker, 1989) によって生じるストレスを規定する可能性を示唆している。
著者
河野 和明 羽成 隆司 伊藤 君男
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.95-101, 2015-11-20 (Released:2015-12-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

恋愛対象者に対する接触回避がどのように生じているかを分析した。大学生334名(男性126名,女性208名)が質問紙調査に参加した。調査では,恋愛対象者,同性友人,異性友人各1名を想起させ,8つの身体接触場面において,各人物との接触をどの程度回避したいかについて尋ねた。男女とも恋愛対象者に対しては,異性友人に比べて接触回避の程度を下げたが,この傾向は女性で顕著であった。女性は,異性友人に対して接触回避を高く保っているが,恋愛対象者に対しては大幅に回避を下げると考えられた。しかし,たとえ恋愛対象者であっても,恋愛対象者への接触回避は,同性友人への接触回避よりも低くならなかった。一方,男性は,同性友人,異性友人よりも,恋愛対象者への接触回避は低かった。接触回避が性的防衛の機能をもつ可能性が考察された。
著者
河野 和明
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.4, no.Si, pp.54-64, 2019-02-28 (Released:2019-03-11)
参考文献数
44

This study aimed to clarify target groups of dislike feeling of Japanese people and analyze elements of the feeling. Web survey was conducted among 1,000 Japanese adults, whose ages ranged from 20 to 69 years old. The results showed that approximately two thirds of the survey participants could report target group(s) of dislike feeling, and Japanese new religions, three neighboring countries and the Islamic State were mainly reported as target groups. Sex and age differences were small in categories of reported target groups, and male’s hostile commitments for the groups were relatively higher than female’s. Sensitivities for threat in environment related to negative attitude for the target groups and the relationships were higher in males than in females. These results were consistent with general results of previous studies.
著者
野村 真治 桂 春作 久我 貴之 河野 和明 加藤 智栄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.570-574, 2003-03-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

2000年2月から2002年3月までに7例の上肢急性動脈閉塞症を経験した.年齢は61歳から91歳で平均77.3歳.男性4例,女性3例であった.全例に不整脈を認め,うち6例は心房細動で, 1例は洞不全症候群であった.症状は冷感6例,知覚異常1例,疼痛3例,脱力感2例であった.閉塞部位は鎖骨下動脈2例,腋窩動脈1例,上腕動脈2例,橈骨動脈2例で,右4例,左3例であった.全例にまず血栓溶解療法を施行し, 4例で改善を得た.他の3例で,経皮的血管形成術, Fogartyバルーンカテーテルによる血栓除去術,バイパス術をそれぞれ1例ずつ追加した.全例手指の機能障害なく改善した.本疾患への治療の第一選択として血栓除去術が頻用されているが,当科ではまず血栓溶解療法を施行し, 7例中4例で有効であり,第一選択の治療法となりうると考えた.
著者
藤田 雄司 森 文樹 河野 和明 藤原 敏典 吉岡 嘉明 田村 陽一 江里 健輔
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.2063-2066, 1993-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10

炎症性腹部大動脈瘤の発生頻度は腹部大動脈瘤の約20%前後であることが報告されてから,最近急速に注目されている.今回われわれは炎症性腹部大動脈瘤の1例を経験したので,最近の治療法をふまえて報告する.症例は62歳の女性で,夜間の発作性腹痛・腰痛を主訴とした.血圧は正常で,貧血や炎症所見あるいは,尿路系障害もなかった.腹部エコー及びCTでは,腎動脈分岐部直下に最大横径4cm, 縦径8.5cmの紡錘状動脈瘤を認めた.動脈壁は約1cmとマントル状に肥厚し,壁内には石灰化があった.瘤壁は約1cm厚に肥厚,線維化しており,内膜には中等度の動脈硬化性変化が認められるに過ぎなかった.径18mmY型Dacron人工血管にて置換術を行った.組織学的には,炎症性腹部大動脈瘤であった.本症は破裂しにくいと言われているが,症状を伴う場合には積極的に手術をすべきである.
著者
中村 真 河野 和明
出版者
日本感情心理学会
雑誌
エモーション・スタディーズ (ISSN:21897425)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.61-72, 2021-12-30 (Released:2022-01-13)
参考文献数
33
被引用文献数
3

The purpose of this study was to contribute to the planning of solutions and preventive measures against exclusionary behaviors targeting specific minority groups. Focusing on disgust and related emotions, which have rarely been addressed in previous research, the authors developed a hypothetical comprehensive model that explains the psychological processes behind social exclusion, starting from information input, attention bias, cognitive evaluation, emotions, exclusionary attitude, and such behavior. In order to validate the model, we conducted a survey on impressions of Northeast Asian countries with 1068 participants, based on previous studies (Kawano & Nakamura, 2021). As a result of the analysis of covariance for the structural equation model reflecting the hypothetical model, it was confirmed that the model shows the sufficient fit to the date as a comprehensive psychological process model, and we were able to provide guidelines for contributing to the planning of solutions to problems and preventive measures based on the psychological processes behind social exclusion.
著者
河野 和明 羽成 隆司 伊藤 君男
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.95-101, 2015
被引用文献数
1

恋愛対象者に対する接触回避がどのように生じているかを分析した。大学生334名(男性126名,女性208名)が質問紙調査に参加した。調査では,恋愛対象者,同性友人,異性友人各1名を想起させ,8つの身体接触場面において,各人物との接触をどの程度回避したいかについて尋ねた。男女とも恋愛対象者に対しては,異性友人に比べて接触回避の程度を下げたが,この傾向は女性で顕著であった。女性は,異性友人に対して接触回避を高く保っているが,恋愛対象者に対しては大幅に回避を下げると考えられた。しかし,たとえ恋愛対象者であっても,恋愛対象者への接触回避は,同性友人への接触回避よりも低くならなかった。一方,男性は,同性友人,異性友人よりも,恋愛対象者への接触回避は低かった。接触回避が性的防衛の機能をもつ可能性が考察された。