著者
江種 伸之 姜 学妍 峠 和男 西田 憲司 平田 健正
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.297-304, 2011-06-30 (Released:2011-07-01)
参考文献数
11

土壌汚染対策法の施行規則では,原位置封じ込めが地下水汚染を経由した健康被害を防止するための標準的措置になっている。しかし,同法の主な対象と考えられる市街地では,原位置封じ込めの適用条件を満足する不透水層があまり存在しないことが明らかになってきた。そこで本研究では,より多くの現場に適用可能な原位置封じ込め措置として地下水揚水併用型を考え,数値解析を実施して汚染拡散防止効果を考察した。その結果,薄い難透水層しか存在しない現場においても,地下水揚水の併用によって,原位置封じ込め措置を適用できることが確認された。また,汚染拡散防止に必要な難透水層内の上向きの地下水浸透量は,封じ込め区域900m2あたり0.1m3/d程度でよいことも推察された。これは,遮水壁の性能が十分であれば,地下水揚水量が難透水層内の浸透量と同程度の少量で済むことを示唆している。
著者
渡辺 俊一 江種 伸之 平田 健正 横山 尚秀 山里 洋介 森田 昌敏
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.147-157, 2010-03-26 (Released:2010-03-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

本稿では,2003年3月に茨城県神栖市で発生した有機ヒ素化合物による地下水汚染の実態について報告する。汚染物質となった有機ヒ素化合物はジフェニルアルシン酸である。汚染地域で実施した野外調査では,ジフェニルアルシン酸は主に帯水層深部から検出された。しかし,汚染の発端となった飲用井戸の南東90m付近の人工的に埋め戻された浅層地盤からは,ジフェニルアルシン酸を高濃度に含むコンクリート様の塊が発見され,これが汚染源と推察された。また,地下水の汚染は汚染源から約3km離れた下流地区まで拡がっていることが確認された。
著者
平田 健一 山下 智也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.1706-1711, 2016-09-10 (Released:2017-09-10)
参考文献数
7
著者
玉田 祐介 雫田 享佐 厚芝 源太郎 平田 健太郎 石川 博規 工藤 慎一
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.22-00009, (Released:2023-07-07)
参考文献数
36

フクジュソウ Adonis ramosa は,主に落葉樹林に生育するキンポウゲ科の多年草で,北海道中央部から南部,本州,四国に分布し,多くの都道府県で絶滅危惧種となっている.フクジュソウの保全対策を効果的かつ効率的に実施するためには,生育環境について知見を蓄積することが重要な課題の一つである.フクジュソウの生育環境については,光条件による影響を報告した研究は存在するが,フクジュソウの生育に影響を与える局所スケールの環境要因及びその相対的重要性を明らかにした研究は見られない.そこで,本研究では,北海道中央部及び南部において,光条件,土壌条件,リター層,周辺植生といった環境要因に着目してフクジュソウの生育環境を調査した.北海道中央部及び南部のフクジュソウの開花結実期にあたる2021 年 4~ 5 月において,各調査地域(計 7 地域)のフクジュソウ生育地に方形区(1 m×1 m)を 5 個設置し,計 35 個の方形区でフクジュソウの個体数を記録した.また,フクジュソウの生育に関係し得る環境要因として,相対照度,土壌硬度,リター層の厚さ,林床被度,樹冠被度を計測した.その結果,相対照度が高く,リター層が薄く,かつ林床被度が低いほど,フクジュソウ個体数は多かった.そのため,フクジュソウの保全対策を実施する場合には,相対照度が高く,リター層が薄く,かつ林床植生が少ない環境に着目することが重要であり,開発事業によりフクジュソウ生育地を改変せざるを得ない場合は,そのような環境へ移植を実施する必要があると考えられる.また,フクジュソウ生育地のモニタリングや維持管理を実施する場合には,草刈りや落ち葉かきが有効と考えられる.
著者
平田 健正
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.223-230, 1988-11-24 (Released:2012-12-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
山下 智也 平田 健一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1073-1076, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
20

近年、疾患発症と腸内細菌叢との関連が調査され、代謝疾患・免疫疾患・悪性腫瘍などの分野の報告が相次いでいる。心血管病の分野では、腸内細菌由来代謝物のトリメチルアミンNオキシド(TMAO)が動脈硬化を悪化させ、心血管イベントの増加に関連すると報告され、循環器疾患の治療標的として注目されている。本稿では、動脈硬化をはじめ高血圧や心不全といった心血管病の病態と腸内細菌との関連について、世界的な研究の動向と我々のグループからの報告を紹介して、今後の展望を述べたい。
著者
西川 弘太郎 平田 健太郎 高岩 昌弘
出版者
一般社団法人 日本フルードパワーシステム学会
雑誌
日本フルードパワーシステム学会論文集 (ISSN:18803121)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.56-63, 2018 (Released:2018-07-12)
参考文献数
16
被引用文献数
2

In recent years, 3D printer technology has brought many projects on the myoelectric hand to provide lightweight and inexpensive ones. However, the use of many mechanical and electronic components still limits the reduction of the total weight and cost. It also causes inevitable battery life problem. Therefore the authors propose a novel self-powered pneumatic prosthetic hand with which no electricity is required. The hand can grasp physical objects flexibly and quickly enough and is superior in portability because no external facilities like tank and compressor are needed in contrast to the traditional pneumatic devices. Driven by the supination motion of the arm, it does not have the restriction of the posture when the user wants to grasp. In addition, the hand is equipped with a tactile feedback system to realize a soft grasping.
著者
椎木 栄一 平田 健司 鎌田 敬子 関 寿大
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-39, 2018-03-25 (Released:2018-05-21)
参考文献数
10

原因が異なる低緊張型の反張膝(2症例3膝)に対してRHK(NexGenRHK. Zimmer, Warsow, in USA)を使用してのTKAを行った.従来のRHKの臨床成績は厳しい結果であるが,現在のmodernRHKとなってからの比較的良好な中期成績も報告されている3).また,反張膝に対するTKAの成績は決して良好ではなく10)長期成績は不明だが,物理的に反張を抑えるhinge機能を有する人工関節は有効と思われた.今回1例については術後6年でインプラントのhinge部分の破損で再置換術を要した.2症例の経過についてと文献も踏まえ検討を行ったので報告する.
著者
加藤 健一 平田 健太郎 水野 貴志 山田 晃平
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.9, pp.631, 2009

本発表では,曲芸師,海老一染之助師匠演じる伝統芸能太神楽のひとつ,「くわえ撥(バチ)」を模擬した大道芸ロボット"SOMENOSUKE"の開発結果について述べる."SOMENOSUKE"は,撥に見立てた水平方向に回転するアームと,アーム上に取り付けられた目の役割を果たすUSBカメラで主に構成され,急須や毬に相当するブロックの増積に対してロバストな安定化を図ることが目的である.ここでは,ブロックの個数に応じたモデルの不確かさとカメラの画像処理に関するむだ時間を考慮するため,サンプル値H∞制御系を設計することでその安定化を達成した.動画を用いてこの様子は紹介する予定である.
著者
平田 健 加藤 智栄 八木 隆治 林 雅太郎 河野 和明 瀬山 厚司 久我 貴之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.805-809, 2005-04-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
12

目的)手術切開創の創傷処置に閉鎖環境,消毒不要などの概念が導入され創傷処置が変わりつつある.当科ではフィルムドレッシングを導入し,従来のガーゼ処置と比較検討した.方法)胸腹部待機手術症例を対象とし,フィルム群 (F群)とガーゼ群 (G群)へ最小化法により振り分け,前向き研究を行った. F群では縫合直後にフィルムドレッシング材を貼付し抜糸まで交換せず経過観察した.創感染,コストなどについて検討した.結果) F群49症例,G群51症例.手術部位,手術時間,切開創の長さ,抜糸までの日数には差はなかった.切開創感染はF群で3例 (6.1%), G群で2例 (3.9%) で差はなかった (p=0.92). コストはF群 (255円)で, G群 (605円)に比し有意に低かった (p<0.001). 結論)フィルムドレッシングは切開創の管理,観察が容易で,創感染を増加せず,低コストであり,従来のカーゼ処置より有効であった.
著者
平田 健治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

指図による占有移転の方法による即時取得の要件は何か。この明瞭化が本研究の目的であった。その点については、ドイツ法、フランス法、英米法、さらにはローマ法の議論を参照することで、要件設定の際に考慮されるべき諸要素を析出したことが成果である。それを列挙すれば、日本の指図による占有移転の要件の沿革から見た欠陥の指摘、占有改定と指図による占有移転の方法が前提とする取引態様の定型的相違に着目すべきことの指摘、物権関係(所有権移転)と債権関係(賃貸借や寄託契約)の連携のあり方が絡むことの指摘、占有意思、とりわけ即時取得において占有意思変更を議論とすることの問題の指摘などである。
著者
佐藤 勝 林 敦子 加登 基弘 新田 裕 並河 勇 白木 雅文 勝谷 芳文 岩山 幸雄 平田 健一 木村 健一
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.407-415, 1985-06-28
被引用文献数
2 2

ヒトの口腔内には鞭毛虫類としてTrichomonas tenax (T. tenax)が生息し,歯周疾患の進展と共にその検出率が高くなることが経験的に知られている。しかし本原虫は培養,純培養が困難であるため,その病原性や生物学的性状は不明である。我々はT. tenaxの培養用に新培地を開発し,この培地がT. tenaxの分離,増殖にも優れていることを確認したので今回は,ヒトの歯肉縁下歯垢中における本原虫の分布と検出率を疫学的に調査した。その結果,T. tenaxの検出率と,被検者の年齢,ポケットの深さ,歯肉炎の程度および歯垢集積量の間には密接な関連性が認められた。また歯周療法がT. tenaxの消長に及ぼす影響を検討したところ,臨床症状の改善に伴ってT. tenaxの検出頻度は低下した。
著者
井伊 博行 平田 健正 松尾 宏 田瀬 則雄 西川 雅高
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.594, pp.57-63, 1998-05-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

茶畑からの湧水には肥料からの硝酸イオン, 硫酸イオンなどの酸性物質と共にアルミニウムイオン, リンなどが多量に含まれている. 湧水が池に入ると, 光合成, 脱窒, 硫酸還元によって, 中和され, 場合によっては, アルカリ性にもなる. 池内での短期間のpHの大きな変化には, 窒素, リンによる池の富栄養化に伴って起こる光合成が大きく貢献していた. 年間通じての硝酸イオンの池内での消失には, 脱窒が関与していたと考えられる. 池の水が中和されることで, 湧水に含まれていたアルミニウムイオンは水酸化物として沈殿し, 硫酸還元によって硫酸イオンも池から除去されたと考えられる. リンは生物 (有機物) として池内に貯蔵された. 池内で, 有害なアルミニウムイオンや硝酸イオンの濃度が下がるため, 池の存在は重要と考えられる.
著者
齋藤 好弘 宇都宮 裕 平田 健二 岡 景則
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.431-436, 1997-07-01 (Released:2009-06-19)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

The authors have developed a new type rolling mill named the satellite mill. The mill comprises one large diameter roll (central roll) and five smaller diameter rolls (satellite rolls) arranged along a circumference of the central roll. Material is passed continuously through the five gaps between the central roll and the satellite rolls and deformed into a profiled cross section. Since all rolls are driven at the same roll speed, longitudinal compressive stress is produced between stands during rolling. The elongation is greatly suppressed. The mill has been applied to the production of round-edged flat wires and two kinds of T-shaped profiled wires from round circular wires. The obtained rolling characteristics and product properties are compared with those by a conventional rolling method. It is shown that the transverse metal flow is enhanced and the filling ability to the roll groove is excellent in satellite-mill rolling. The effect is more apparent in rolling of T-shaped wire having thinner ribs. It is supposed that the satellite mill is favorable for profiled wire production.
著者
平田 健治
出版者
日本私法学会
雑誌
私法 (ISSN:03873315)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.48, pp.243-249, 1986-08-30 (Released:2012-02-07)
著者
小川 真人 坪井 康典 杜 隆嗣 林 女久美 丸山 孝樹 三輪 雅彦 黒坂 昌弘 平田 健一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.D4P1185-D4P1185, 2010

【目的】<BR>近年、急性心筋梗塞(AMI)患者の在院日数は短縮傾向にあるが、一方、二次予防を含めた包括的心臓リハビリテーションが重要視されている。AMIの有酸素性運動の処方強度としては嫌気性代謝閾値(AT)レベルが推奨されているが、これは心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いなければ判定出来ない。その一方、運動強度が低すぎると効果が十分でないことが言われている。当院では、安全かつ効率的な心臓リハビリテーションプログラムを作成することが重要であると考え、最終的にはBorg Scale13程度でのトレッドミル歩行30分を退院時運動処方の目標としたAMIプロトコルを平成21年5月より運用開始したので、報告する。<BR><BR>【方法】<BR><B>対象</B><BR>平成21年5月~9月に、AMIを発症後、当院において経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行された24名(年齢 64.0±13.6歳 Peak CPK 1940.3±1373.0 IU/l)。 <BR><B>プロトコル進行基準</B><BR>自覚症状の急性増悪/HR<120bpm/Lown分類:4a以内/2mm以上のST低下(水平型・下降型) 著明なST上昇がないこと/立位保持までは収縮期血圧変動<20mmHg(心タンポナーデリスクが高いと判断された場合には、主治医許可があるまで、血圧コントロールは継続すること)。<BR><B>運動負荷基準</B><BR>自転車エルゴメーターを用い、40~60%体重(BW) Watt×20分から開始。進行基準を満たしていることに加えて、運動処方中のSBPが増加しており、Borg Scale 14未満であれば、処方強度を20%BW Watt/日ずつ、処方時間は30分に増加した。エルゴメーター負荷によって確定した、Borg scale13の心拍数(HR)をトレッドミルでの処方強度とした。<BR><B>検討項目</B><BR>トレッドミル歩行達成率、平均トレッドミル歩行速度、平均処方HR<BR><BR>【説明と同意】<BR>対象者には当院の心臓リハビリテーションプログラムについて医師、理学療法士より説明の上、同意を得た。<BR><BR>【結果】<BR>トレッドミル歩行達成率は70.8%(17/24例)であった。未達成理由としては、プロトコル進行基準抵触群が12.5%(3/24例)、患者希望の早期退院群が16.6%(4/24例)であった。トレッドミル歩行平均速度4.4±1.3km/h、平均処方HR 101.2±13.3bpmであった。心事故発生件数は0件であった。<BR><BR>【考察】<BR>呼気ガス分析装置を用いないトレッドミル歩行導入プロセスを作成した。呼気ガス分析による正確な嫌気性代謝閾値の判定が出来なかったが、心事故を起こすことなく、プロトコル運用が可能であった。このことは、当院の運動負荷プログラムは呼気ガス分析を用いることが出来ない環境においても十分に実用的に運用し得るものであると考えられる。今後呼気ガス分析を使用し、現在の運動負荷基準や経時的に変化する主観的運動強度について検討、再考することが必要であると考えられる。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>AMIの早期運動処方に際し、心肺運動負荷試験による呼気ガス分析を用いず、運動負荷プログラムを実施したが、心事故は発生せず、安全にプログラムを遂行し得た。