著者
遠藤 秀紀 佐々木 基樹 成島 悦雄 小宮 輝之 林田 明子 林 良博 STAFFORD Brian J.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.839-843, 2003-08-25
被引用文献数
1 3

ジャイアントパンダの肢端把握時における前腕と手根部の運動を解明するため,遺体を用いて前腕の屈筋と伸筋を機能形態学的に検討した.尺側手根屈筋は発達した2頭をもっていたが,その収縮では尺骨に対する副手根骨の角度が変わることはほとんどないと結論できた.このことは,ジャイアントパンダが物を把握するときに,副手根骨がその把握対象物の支持体として機能していることを示している.また,長第一指外転筋は尺骨と橈骨の双方に発達した起始をもち,前腕の回外筋としても機能していることが明らかとなった.これらの結果から,ジャイアントパンダが橈側種子骨と副手根骨を利用した肢端把握システムを使って食物を口に運ぶ際には,方形回内筋,円回内筋,長第一指外転筋,そして回外筋が,前腕の回内・回外運動に効果的に貢献していることが示唆された.
著者
遠藤 秀紀 木村 順平 押尾 龍夫 STAFFORD Brian J. RERKAMNUAYCHOKE Worawut 西田 隆雄 佐々木 基樹 林田 明子 林 良博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1179-1183, 2003-11-25
被引用文献数
5 12

ホオアカカオナガリス(Dremomys rufigenis)について,マレーシア(半島部)集団,ベトナム(南部)・ラオス集団,タイ(北部)集団の頭蓋骨標本を用い,地理的変異と機能形態学的適応を骨計測学的に検討した.その結果,南部集団は北部の二集団より基本的にサイズが大きかった.プロポーション値の検討から,マレーシア集団では内臓頭蓋が吻尾方向に長く,ベトナム・ラオス集団とタイ集団では眼窩の距離が短いことが明らかになった.マレーシア集団の長い鼻部と側方に向いた眼窩は地上性・食虫性により適応し,眼窩が吻側に向くことで他の二集団で強化される両眼視はより樹上性・果実食性適応の程度が高いことが示唆された.一方,主成分分析の結果から,マレーシア集団とほかの二集団は明確に区別され,この頭蓋形態の集団間の変異には,クラ地峡による生物地理学的隔離が影響していることが推測された.