著者
近澤 征史朗 岩井 聡美 柿崎 竹彦 畑井 仁
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.18-23, 2014-12-26 (Released:2014-12-26)
参考文献数
16

犬の組織球性肉腫 (HS) は高フェリチン血症を呈する代表的な疾患であり、血清フェリチン濃度の異常高値が有用な診断マーカーであると報告されている。我々は血清フェリチン濃度が犬の HS の病態を反映して変化すると考え、HS 罹患犬3例における治療に伴う血清フェリチン濃度の推移を調べた。その結果、全例で診断時に著しい高値を示した血清フェリチン濃度は治療開始後に速やかに低下し、再燃を認めた時あるいはその直前で再び上昇した。従って、血清フェリチン濃度は HS の病態を鋭敏に反映して変化すると考えられ、本症の病態モニタリングへの臨床応用が期待された。
著者
柿崎 竹彦 横山 裕貴子 夏堀 雅宏 唐沢 梓 久保 聡 山田 直明 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.361-365, 2006-04-25

犬における血漿中プロベネシドの測定と共にその血漿蛋白結合特性および薬物動態学的パラメータを求めた.血漿中プロベネシド濃度はHPLCによって良好な直線性および添加回収率が示され,血漿試料の定量限界はS/N比3として約50ng/mlまで塩酸とメタノールによる簡便な試料処理によって測定された.プロベネシドは犬血漿蛋白と高親和性低結合容量および低親和性高結合容量の2相性の結合特性を示し,この結果より犬血漿中ではその後in vivoで観察された濃度範囲(<80μg/ml)で80〜88%のプロベネシドが血漿蛋白との結合型で存在することが示された.プロベネシド(20mg/kg)静脈内投与後の血漿中消失プロフィールより,2コンパートメントモデルがもっともよく適用され,その血漿クリアランスは0.34±0.04ml/min/kg,定常状態の分布容積は0.46±0.07l/kg,消失相の半減期は18±6hr,平均滞留時間(MRT)は23±6hrであった.プロベネシドは酸性薬物に対する腎尿細管での強力な能動分泌阻害薬であることと,その血漿蛋白結合率が高いために,血漿蛋白結合および薬物動態に関する著者らの知見は,本薬物による犬や他の動物種における薬物相互作用の基礎的情報を提供すると考えられる.