著者
岩井 聡美
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.109-112, 2012-07-10 (Released:2014-11-26)
参考文献数
11
著者
岩井 聡美
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-13, 2021 (Released:2021-07-06)
参考文献数
67

現在、猫の尿管結石症に遭遇する機会は年々増加しているが、ほとんどがシュウ酸カルシウム結石であり、尿管閉塞の原因となる。猫の尿管閉塞は結石自体によるものと、尿管の線維化や肉芽腫形成によって起こる二次的なものが存在する。結石が存在しない場合もあるため、超音波検査にて腎盂や尿管の拡張が認められた場合には、尿管閉塞を疑って精密検査の実施が推奨される。片側の尿管における閉塞や狭窄であれば、重篤な病態に陥ることは少ないが、両側の尿管に閉塞が生じるとかなり重篤な状況での対処が必要となる。また、前述のようにほとんどがシュウ酸カルシウム結石であるために、外科的治療法が適応となる。猫では急性腎障害を発症した後、尿管閉塞を解除しても尿細管間質の線維化が進行しやすい病態変化を示し、慢性腎臓病へと移行しやすいと考えられている。今回、猫における尿管結石の原因、病態変化、臨床症状、診断法、治療法、および予後管理を中心に解説する。
著者
杉江 信之 伊東 宗行 岩井 聡美 大河内 博雄
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.501-504, 1995-06-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
10

10歳女児のガンゼル(Ganser)症候群を報告した. 主訴は意識混濁, 脱力, 失神卒倒. 連日数分間の意識混濁があり最寄りの総合病院を受診し, てんかん(複雑部分発作)の疑いで, バルプロ酸, カルバマゼピンなどの治療を受けたが改善がなく, 当院に紹介入院となった. 意識混濁は, 数分から数十分にわたる朦朧状態であり, その間は質問に対して見当違いの応答や, 幼児様の言葉使い, 絵や文字の鏡像表記がみられた. 時折, 幻覚や失神卒倒もみられた. 発作時脳波記録では, てんかん性異常発作活動を認めなかった. 詳細なる問診の結果, 患児の家族(曽祖母)の死去と本症発病との関違性が明らかになり, 一連の臨床症状はてんかん発作ではなく, Ganser症候群であると判明した. その後, 抗てんかん薬を中止し, 専門医によるカウンセリングによって症状の改善をみた.
著者
近澤 征史朗 岩井 聡美 柿崎 竹彦 畑井 仁
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.18-23, 2014-12-26 (Released:2014-12-26)
参考文献数
16

犬の組織球性肉腫 (HS) は高フェリチン血症を呈する代表的な疾患であり、血清フェリチン濃度の異常高値が有用な診断マーカーであると報告されている。我々は血清フェリチン濃度が犬の HS の病態を反映して変化すると考え、HS 罹患犬3例における治療に伴う血清フェリチン濃度の推移を調べた。その結果、全例で診断時に著しい高値を示した血清フェリチン濃度は治療開始後に速やかに低下し、再燃を認めた時あるいはその直前で再び上昇した。従って、血清フェリチン濃度は HS の病態を鋭敏に反映して変化すると考えられ、本症の病態モニタリングへの臨床応用が期待された。
著者
岩井 聡美
出版者
日本獣医腎泌尿器学会
雑誌
日本獣医腎泌尿器学会誌 (ISSN:18832652)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.12-22, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
69

獣医療において人のESA製剤が腎性貧血の治療に応用されているが、異種タンパクに対する免疫反応を介する抗体産生再生不良性貧血の発生が問題である。近年、ESA耐性に対する鉄代謝障害の関与が注目されており、ヘプシジンと呼ばれる鉄代謝抑制ホルモンが炎症に伴う貧血の発生に関与する主要なメディエーターであると考えられている。猫の腎性貧血における鉄代謝機構の解明がESA耐性克服の重要なブレークスルーとなりうるため、本稿において詳述したい。
著者
近澤 征史朗 岩井 聡美 畑井 仁 星 史雄 金井 一享
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.255-259, 2018-05-20 (Released:2018-06-20)
参考文献数
10

間欠的かつ重度の下部消化管出血を呈した7歳齢,雌のミニチュア・ダックスフンドは下部消化管内視鏡検査において大腸全域に及ぶ粘膜表面の毛細血管の拡張・蛇行・集簇が観察された.それら特徴的な血管異常から大腸血管拡張症が強く疑われ,外科治療として病変部を含む直腸の一部を温存した大腸亜全摘出術が実施された.術後の出血便の頻度は激減し,合併症と考えられた便失禁や頻回の軟便の排泄は経過を追うごとに鎮静化した.本症例は術後688日が経過した時点において輸血を行うことなく安定した自宅管理が継続されている.摘出した大腸の病理組織学的検索では,粘膜及び粘膜下組織における広範な血管拡張が観察されたことから,本症例は本邦初となる犬の大腸血管拡張症の罹患例であると考えられた.