- 著者
-
栗本 慎一郎
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.2, pp.176, 2016 (Released:2016-02-23)
- 参考文献数
- 3
肥満は,がん,糖尿病,循環器疾患などの多くの生活習慣病のリスクファクターであることが知られている.しかしながら,世界規模で肥満人口は増加の一途をたどっており,肥満人口の最も多い米国では,成人の3人に1人が肥満(BMI≧30:国際基準)と言われている.我が国でも,成人男性の約3割,成人女性の約2割が肥満(BMI≧25:日本肥満学会基準)に該当し,健康寿命の延伸や生活習慣病の発症ならびに重症化の予防を目指す上で,肥満人口の減少は大きな課題の1つとなっている.肥満病態の形成に最も密接に関わるのが食習慣であり,それゆえ,食事を通じた肥満の予防・改善を目指した研究が盛んに行われている.ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)はシソ科の多年草であり,香辛料やハーブとして用いられているほか,抽出エキスは食品添加物や記憶力を高めるサプリメントとして利用されている.本稿では,Zhaoらによるローズマリーの抗肥満作用とその活性成分に関する研究を紹介する.なお、本稿は下記の文献に基づいて、その研究成果を紹介するものである。1) Zhao Y. et al., J. Agric. Food. Chem., 63, 4843-4852 (2015).2) Harach T. et al., Planta Med., 76, 566-571 (2010).3) Ibarra A. et al., Br. J. Nutr., 106, 1182-1189 (2011).