- 著者
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永井 智
桑原 千明
- 出版者
- 日本学校メンタルヘルス学会
- 雑誌
- 学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.1, pp.58-67, 2017
<p>【問題と目的】ストレスや悩みなどに適切に対処するうえで,援助要請は重要な対処方略の1つである。先行研究では様々な要因が援助要請に影響することが明らかになっているが,パーソナリティ要因と援助要請との関連はほとんど検討されていない。そこで本研究では,成人の愛着が友人に対する援助要請意図に与える影響を検討した。</p><p>【方法】455名の大学生が,援助要請意図,愛着における見捨てられ不安と親密性の回避,悩みの経験,抑うつ,友人サポートを測定する質問紙に回答した。</p><p>【結果】共分散構造分析の結果,見捨てられ不安が,援助要請意図に対して有意な直接効果を示さなかったのに対し,親密性の回避は援助要請意図に対して負の影響を示した。また援助要請意図に対し,見捨てられ不安からは,悩みの経験を媒介した正の間接効果が,親密性の回避からは友人サポートを媒介とした負の間接効果が見られた。</p><p>【考察】愛着を用いて援助要請を説明する場合,説明力は先行研究と比べても高くなっていた。そのため,個人の援助要請を理解する上で愛着に着目することの重要性が示された。</p>