著者
桑原 千明 中本 敬子
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.52, no.別集, pp.69-80, 2019-03-01

本稿では,幼児期から児童期にかけての他者との協同による学習について,対人関係及び社会性の発達を概観した上で自己調整学習の観点から検討を行った.対人関係は,自己完結的で単発的な関わりから,他者と目標やテーマを共有し協同し合う関わりへと変化していく.社会性についても,他者視点の取得や共感性の発達に伴い,向社会的行動や道徳性を発達させていく.自己調整学習については自己の学習をモニタリング・コントロールし調整する自己調整の他,他者と一時的に調整を協調する共調整や共通目標のもと相互に学習を調整し共有し合う社会的に共有された学習がある.幼稚園や小学校での学習を考える時には,一般的な発達段階を踏まえた上で,共調整から自己調整への内化を踏まえてメタ認知や調整能力の発達を促すことや自他の視点の違いを踏まえて学習を調整しあうプロセスに注目することが重要であると考えられる.
著者
國府田 真綾 鈴木 学 金地 夏実 福本 実咲 桑原 千明 林 秀樹 亀山 千里 生木 庸寛 小原 道子 棚瀬 友啓 杉山 正
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.395-402, 2018-08-10 (Released:2019-08-14)
参考文献数
8
被引用文献数
3

Gifu Pharmaceutical Association conducted a survey on the actual situation of family pharmacists in collaboration with Gifu Pharmaceutical University in 2016. Data of 3,340 people were obtained from 342 pharmacies. A total of 2,666 patients received prescriptions in May 2017 and family pharmacists were assigned to 221 patients (8.3%). The patients group who selected family pharmacists had a greater tendency to bring all the prescriptions to the same pharmacy, to bring the medicine notebook with the prescriptions, and to buy over the counter drugs (OTC) from the family pharmacy than the group not covered by the family pharmacists. The patients ask family pharmacists for reliability, health consultation, and advice in selecting OTC. They are satisfied with family pharmacists on consultations being responded to at any time and feeling that they could ask questions that they could not ask the doctor.
著者
永井 智 桑原 千明
出版者
日本学校メンタルヘルス学会
雑誌
学校メンタルヘルス (ISSN:13445944)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.58-67, 2017

<p>【問題と目的】ストレスや悩みなどに適切に対処するうえで,援助要請は重要な対処方略の1つである。先行研究では様々な要因が援助要請に影響することが明らかになっているが,パーソナリティ要因と援助要請との関連はほとんど検討されていない。そこで本研究では,成人の愛着が友人に対する援助要請意図に与える影響を検討した。</p><p>【方法】455名の大学生が,援助要請意図,愛着における見捨てられ不安と親密性の回避,悩みの経験,抑うつ,友人サポートを測定する質問紙に回答した。</p><p>【結果】共分散構造分析の結果,見捨てられ不安が,援助要請意図に対して有意な直接効果を示さなかったのに対し,親密性の回避は援助要請意図に対して負の影響を示した。また援助要請意図に対し,見捨てられ不安からは,悩みの経験を媒介した正の間接効果が,親密性の回避からは友人サポートを媒介とした負の間接効果が見られた。</p><p>【考察】愛着を用いて援助要請を説明する場合,説明力は先行研究と比べても高くなっていた。そのため,個人の援助要請を理解する上で愛着に着目することの重要性が示された。</p>