著者
桑原 雅子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.78-91, 2018-11-20 (Released:2019-12-02)
参考文献数
32

20世紀なかばを端緒として,1990年代の「デジタル革命」以降に急展開し,現在も進行中の科学の変貌と,それに伴って台頭しつつある新科学主義を扱う.この状況に,広義の科学論(科学史・科学社会学・科学哲学+科学技術社会論)は,いかに対応し得たか.科学論自体を批判的に問い直すべきときである. 今世紀になり,コンピュータ容量の急速な増大とともに,計算科学,データサイエンス,ベイズ統計学の伸長が著しい.これらの数理科学を駆使する学術研究を「21世紀型科学」と名付ける.21世紀型科学の特徴と新科学主義の台頭を論じたうえで,日本のSTSが取り組むべき諸課題を提起する.最後に,これらの課題を遂行するためには,21世紀型科学を対象とするインターナル・スタディーズが必要であることを主張する.