著者
遠藤 悟 細野 光章 王 戈 岡本 拓士 小野田 敬 桑島 修一郎
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.238-257, 2019-10-25 (Released:2019-10-29)
参考文献数
21

Research performed at universities and public research institutions are crucial for the creation of new industry and for the enhancement of quality of life of the people. It contributes to improve the scientific literacy of the people and to develop human resources for research by stimulating scientific curiosity of the people. However, it is pointed out that research capability in Japan has been declined in recent years. In this paper, analyses of current situation of research activities at universities and public institutions are presented. The discussions made in this paper include the followings: (1) recognition of situation of research activities, (2) research funding, (3) governance and evaluation of universities and research institutions, (4) research performance, (5) human resources. Several recommendations for the improvement of research capacity in Japan through comparison with major overseas countries and through analyses of current research systems in Japan are presented.
著者
石田 謙司 桑島 修一郎
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、有機強誘電体多層膜を用いて新たな原理の論理演算素子を創成すべく、その基本概念の取得、動作原理の探求を行うことである。本年度は分極相互作用を利用した論理演算素子の実証実験に不可欠な強誘電体論理セルとなる強誘電体多層膜をフレキシブル基板上に形成して論理動作の詳細を解析し、有機強誘電体のスイッチング機能を応用した非トランジスタ型の有機論理法の動作原理を考察した。本動作を検証するため、フッ化ビニリデンVDFオリゴマー(n=12)を用いてデバイス試作を行った。電極材料にはA1を使用し、A1配線はVDFオリゴマー薄膜を介して、3つのラインが1か所でクロスオーバーするパターンとした。クロス領域は0.25mm^2、それぞれの膜厚はA1:60nm、VDF:220nmである。作製した積層体に、プリセット用のポーリング処理を施した後、論理入力として(input1,input2)=(1,0)、(0,1)、(1,1)、(0,0)をそれぞれ印加した。本実験の場合、入力論理値"1"は、+48Vであって、"0"は-48Vであり、その矩形波を入力とした。矩形波としての印加時間は250usecである。それぞれの入力に対して観測された出力電荷の時間変化を観測したところ、(1,0)、(0,1)での出力がほぼ一致することが判り、その値は、59nCであった。この値はポーリング処理時での各層での残留分極量に一致する。また(1,1)での出力がちょうどその2倍に相当する118nCであり、分極反転に伴うスイッチング動作が実際のデバイスでも想定通りに実行できていると言える。以上の結果より、例えば出力の閾値を50nCとすれば、ORゲート、100nCとすればANDゲートとして動作、実行できることが判明し、強誘電体多層膜を用いた論理ゲート動作を実証した。
著者
小林 圭 山田 啓文 桑島 修一郎
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は、カンチレバーを用いた周波数検出型バイオセンサーにおいて、その最小検出質量を決定する周波数ノイズを定量的に予測するモデルを考案し、また実際にノイズ評価を行うことで、その妥当性を評価した。従来、カンチレバーの共振周波数を検出する周波数検出型のバイオセンサーでは、その変位を検出する変位検出系のノイズによって周波数ノイズが決定されると考えられてきた。つまり、周波数変調(FM)通信と同様に取り扱われてきたのである。しかしながら、実際にバイオセンサーで用いられるカンチレバーの機械的Q値は非常に低く、しばしば10以下となるため、そうした取り扱いが妥当であるかについては疑問視されてきた。我々は、変位検出系のノイズが自励発振ループ内で発生することを考慮に入れた、カンチレバーの周波数ノイズを定量的に予測するモデルを考案した。これにより、低Q値のカンチレバーの周波数ノイズも正確に予測することができるようになった。また、この妥当性を実際に液中で自励発振させたカンチレバーの周波数ノイズを計測することにより確認した。一方、カンチレバーの変位検出系の低ノイズ化対策をさらに進め、10fm/√Hz以下を達成した。また、このように十分に変位検出系を用いた場合、カンチレバーの変位をセンサー出力とする変位検出型のバイオセンサーにおいて、本研究課題で提案した多重反射方式のカンチレバーセンサーは平行レーザ光を用いれば、感度の向上に大きく寄与できることを示すことができた。