著者
桑村 哲生
出版者
日本比較内分泌学会
雑誌
比較内分泌学 (ISSN:18826636)
巻号頁・発行日
vol.38, no.145, pp.68-72, 2012 (Released:2012-09-03)
参考文献数
17
著者
佐藤 初 坂井 陽一 桑村 哲生
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
2020

<p><i>Aspidontus taeniatus</i> (Blenniidae) mimics the bluestreak cleaner wrasse, <i>Labroides dimidiatus</i> in both shape and color. We found a small brownish color variant of <i>A. taeniatus</i>, which was suitable for testing the effect of mimicry. Comparison with the feeding behavior of typically-colored individuals indicated no significant differences between the two in feeding frequency (bites on tubeworm tentacles, boring-clam mantles, and fish fins), suggesting that coloration had no effect on such activity. It is likely that the abundant availability of the former two benthic foods on the study reef may have caused the very low frequency of fin biting, which may have resulted in no differences between the two color patterns.</p>
著者
川那部 浩哉 MKUWAYA Gash KULUKI Kwent 谷田 一三 幸田 正典 桑村 哲生 堀 道雄 柳沢 康信 MKUWAYA Gashagaza Masta KULUKI Kwentenda Menga
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

タンガニイカ湖の沿岸魚類群集は競争的であると同時に協調的な側面を持つ,極めて複雑な種間関係のもとに成立していることが,これまでの調査で明らかになっている。世界の他の淡水域で類をみないまでの魚類群集の多様さは,この湖の地質学的な古さとともに群集の主流を占めるカワスズメ科魚類の可塑的な資質に負っている。固有種によって構成されているこの魚類の系統関係は,以前から継続しーいるアロザイム分析によって求めた。同湖に生息する56属170余種のうち,これまで46属70種について分析を終え,この魚類が少なくとも7つの系統群から構成され,それらが互いに300万年以上も前に分化したものであるという結果を得た。また,同湖の系統群が東アリカ全体のカワスズメ科魚類の「進化的なたまり場(evolutionary reservoir)」になっていることも指摘した。南北に600km近くも延びるタンガニイカ湖では,各魚種の諸形質が湖内で地理的に変異するのみならず,群集の種類組成も地理的に大きく異なる。これまで北部(ザイ-ル国ウビラ周辺)と中部(タンザニア国マハレ周辺)で群集の比較を行ってきたが,昭和63年度および平成元年度に,ザンビア水産庁タンガニイカ湖実験所と共同で,始めて南部(ムプルング周辺)での調査を実施した。岩礁域3ケ所に観察ステ-ションを設け,主にスキュ-バ潜水によって魚類の個体数調査と繁殖・摂食等の行動観察を行った。典型的な岩場の魚類相は,種数で25%,個体数で50%以上が南部固有であり,種数は北部・中部の同じ生息場所に比べて10種以上多く,密度は35%〜50%も少なかった。北部・中部に生息しながら南部にいない数種のニッチは同一の食性ギルドの別種によって占められていた。南部のひとつの特徴は,貝殻を繁殖の巣として利用する特異な1系統群が生息していることである。野外実験の結果,この魚たちは巣の利用に関し寄主一寄生関係にあることが明らかになったが,これは繁殖に関する種間関係の従来の見方について再検討を迫るものである。われわれはこれまでの調査から,摂餌に関する協同的,相互依存的あるいは偏利的な種間関係が重要な群集の構成原理になっていることを強調してきた。今回の調査によってこの仮説を捕完し発展させる2・3の成果を得ることができた。そのうち最も重要なのは,摂餌に関与した形質の個体群内の多型が相当数の種に生じていることの発見である。魚食魚Lepidiolamprologus profundicolaでは,個体群内に6つの固定的あるいは可変的な体色パタ-ンが認められ個々の個体は体色に対応した1・2の限られた狩猟方法を長期間持続して用いた。また,鱗食魚Perissoaus miuolepis plecodus straeleriにおいても,4つまたは2つの色彩多型が存在し,やはり各個体は体色に応じた攻撃方法を用いた。さらに鱗食魚では色彩多型と同時に顎の非対称性も見い出された。この非対称性は,他の魚を襲う時の攻撃方向を決定している。すなわち,右利きの顎をもつ個体は常に他の魚の左体側を,左利きは常に右体側を襲う。これら多型の存在は,被食者側の逃避行動を攪乱する効果をもち,各型が相互に密度依存的な協同的関係にあると推定された。このことは,協同関係が種間のみならず,種内レベルに下がっても重要な原理であることを示唆している。群集内での資源分割が調整的であるのか否かについても,2・3の新らしい知見を得ることができた。共存する藻類食魚数種を実験的に除去しその後の回復過程を観察すると,かつてある種が占めていた場所を同じ種が再び占める傾向が強かった。また,岩場の基質を産卵・保育場所とするLamprolagin族12種の繁殖個体の1年以上にわたる連続除去実験においても,同一場所は同一の種によって繰り返し用いられ,繁殖場所の使用に関する種特異性が極めて高いことが判明した。微小生息場所利用に関する限り,各種が適応している幅は小さく,種間での重なりはほとんどなく非調整的である。大部分が湖内で分化した種によつて構成されているタンガニイカ湖の魚類群集は,既存種の寄せ集めでできた群集とは大幅に異なる原理で編制されている可能性が高い。現地調査で得た資料の解析を現在進めているが,近日中にある程度まとまった説を提示できると考えている。
著者
桑村 哲生
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.133-148, 1987-08-31
被引用文献数
2

Parental-care patterns of fishes are surveyed to examine their evolutionary courses and the factors influencing the care-taker's sex. The Agnatha are nonguarders, the Chondrichthyes are internal bearers (with internal fertilization), and in 99 (24%) out of 418 families of the Osteichthyes guarding, external bearing or internal bearing are exhibited in 69,21,and 24 families, respectively. Male care is the most common among guarders, but only females perform internal bearing. The care-taker's sex is believed to be determined primarily by the ancestral mating system and the method of care : 1. Because rates of gamete production are faster in males than in females, male mating territories will predominate among nonguarders. From ancestors of this mating system, guarding by males but bearing by females will evolve, because males can take care of multiple clutches by guarding but not by bearing. 2. A portion of external bearing is derived from guarding, and prolonged guarding after the end of internal bearing is rarely developed in fishes. The sexes of the secondary care-takers are usually the same as those of the ancestral ones, but are also influenced by the new methods of care and the ancestral mating systems. These and other predictions are examined in relation to current hypotheses.