- 著者
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宮本 賢一
桑波田 雅士
瀬川 博子
- 出版者
- 徳島大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2004
Klothoマウスはヒトの老化症状によく似た変異表現型を有するマウスである。Klotho蛋白の動物個体における真の役割については未だ明らかではないが、生体のカルシウム・リン代謝調節に深く関与していることが考えられている。とくに、Klothoマウスに見られるカルシウム・リンの代謝異常は、寿命決定の最も重要な要因であり、事実、低リン食でKlothoマウスを飼育し、高リン血症を是正すると、表現型の回復と、寿命の延長が観察される。Klotho蛋白とリンセンサー(type IIc Na/Pi cotransporter)は、脳脊髄液のリン濃度維持に関与しており、リンセンサーからのシグナルは脳脊髄液関門から分泌される未同定のリン調節因子の量を調節して末梢組織(腎臓など)に作用させるリン代謝ホルモン(寿命ホルモン)分泌を支配する統合性受容体(センサー)である。本研究ではリンセンサーノックアウト動物を作製し、リン代謝ホルモンの分泌を検討した結果、脳脊髄液関門においてこれらのホルモンの分泌過剰が予想された。そこで、リンセンサーノックアウトマウスおよび野生型マウスより分離した初代培養系脳脊髄液関門細胞を用いて、分泌亢進が見られる蛋白を分離し、質量分析計を用いて同定を試みた。さらに、DNAチップにより発現亢進の見られる分泌型遺伝子について解析した。これらの結果、4種類の機能不明蛋白(PKOS1, PKOS2, PKOS8, PKOS12)の発現亢進が確認された。現在、これらの機能についてノックアウトマウスを作製し検討している。さらに、klotho蛋白とPKOS12について発現部位が一致しているため、現在、蛋白相互を検討している。