著者
木戸 康博 小林 ゆき子
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 : 日本静脈経腸栄養学会機関誌 = The journal of Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.773-782, 2010-05-25
参考文献数
70

たんぱく質は生命の維持に最も基本的な物質であり、組織を構築するとともに、様々な機能を果たしている。たんぱく質欠乏症として、たんぱく質・エネルギー栄養失調症が知られている。たんぱく質の欠乏や不足を回避する指標として、窒素出納法により推定平均必要量と推奨量が、乳児においては、母乳のたんぱく質含有量から目安量が策定されている。たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害との関係を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、耐容上限量を策定しうる十分な根拠が見当たらないので、耐容上限量は設定されていない。たんぱく質の目標量は、たんぱく質摂取量と生活習慣病との関係を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、たんぱく質の目標量量を策定しうる十分な根拠が見当たらないので、目標量は設定されていない。アミノ酸の食事摂取基準として、成人の不可欠アミノ酸の推定平均必要量が策定されている。
著者
吉村 弘太 小林 ゆき子 青井 渉 木戸 康博 桑波田 雅士
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.31-38, 2021 (Released:2021-01-01)
参考文献数
29

学童期の児童にとって、おやつは補食としての役割を担う。しかし、学童保育施設の運営指針ではおやつの具体的な内容や栄養価については提言されておらず、空腹感を和らげる目的でしかとらえられていない。本研究では、学童保育施設を利用する児童の栄養状態と習慣的な食事摂取量を調査し、施設におけるおやつ提供のあり方について検証を試みた。K市に所在する15の学童保育施設を利用する児童を対象に、小学生・中学生・高校生のための簡易型自記式食事歴法質問票を用いた食事調査を実施し、有効回答を得られた293人(有効回答率38.6%)を解析対象とした。その結果、①京都府平均と比較して痩身傾向と肥満傾向の割合が高い、②脂質と食塩の摂取量において食事摂取基準を逸脱した者の割合が高い、③低学年と比較して中学年または高学年でカルシウムや鉄等の栄養素が摂取不足の傾向にあることが明らかとなった。現状提供されているおやつ内容ではこれらの課題は解消されないこと、施設でのおやつ提供の内容再考と児童の成長に合わせた栄養価の確保が必要であることが示唆された。
著者
平山 雄大 木戸 康博
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.139-145, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
39

超高齢社会の栄養学の目標は健康寿命の延伸にあり、積極的に生活の質(QOL)が維持、向上できる栄養学を考える必要がある。健康寿命の延伸の弊害となる介護の要因を調べると、生活習慣病と老年症候群、特に衰弱、骨折・転倒によるものが多く、これらの要因として過剰栄養と低栄養が混在している。健康の保持増進、健康格差の縮小と健康寿命の延伸のために、たんぱく質・アミノ酸の機能性に関する基礎研究の推進、たんぱく質・アミノ酸の実践研究の推進、たんぱく質・アミノ酸に関する有用な情報の発信が必要である。