- 著者
-
小林 ゆき子
- 出版者
- 京都府立大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2009
鉄欠乏性貧血は世界中で頻発している栄養失調のひとつであり、鉄欠乏の解消は栄養学上大きな課題である。本研究では鉄欠乏症に対して効果のある鉄剤を探索するのではなく、食事全体としての鉄欠乏症への対応について検討することを目的とした。本研究期間では、鉄欠乏状態における三大栄養素の鉄生物学的利用能を検討するため、摂取する鉄量が低い場合と鉄需要が増大している妊娠期において、オリゴ糖は鉄の吸収と利用にどのように関与するかについて検討した。その結果、鉄摂取量が少ない状況下において、酸性キシロオリゴ糖の摂取は貯蔵鉄の減少を抑制することが認められた。妊娠期においては、酸性キシロオリゴ糖食は食事鉄の吸収を促進することが示された。したがって、酸性キシロオリゴ糖は食事鉄の吸収を促進することによって鉄欠乏性貧血の予防し、鉄生物学的利用能を改善することが示唆された。