著者
桜井 政成
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.111-122, 2002 (Released:2003-04-23)
参考文献数
35
被引用文献数
8

本研究の目的はボランティア活動に参加する人々の参加動機の構造を分析し,その結果の政策的含意について考察することである.京都市域のボランティア287名を対象に調査を行い,参加動機項目を因子分析した結果,7種類のボランティア参加動機因子を抽出した.それぞれ,「自分探し」因子,「利他心」因子,「理念の実現」因子,「自己成長と技術習得・発揮」因子,「レクレーション」因子,「社会適応」因子,「テーマや対象への共感」因子と名付けた.また,得られた参加動機構造モデルの妥当性を検討するために,個人的属性やボランティア活動への参加形態による参加動機構造の差異について分析した.その結果,性別,年齢層,職業,過去の活動経験の有無,活動対象分野,活動歴において類型ごとの差異が見られた.このうち性別と活動歴を除いた分析は,先行研究の結果や経験的な見地から妥当な結果であると言え,従ってモデルの妥当性は確認された.本調査の結果からNPOや政策担当者にとって,ボランティアの受け入れや推進のためにその動機の多様性を理解することは重要であると言える.
著者
桜井 政成
出版者
JAPAN NPO RESEARCH ASSOCIATION
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.103-113, 2005

ボランティアは地域生活者として,生活環境上の異なるバックグラウンドを持って,活動に参加している.このため,人々のライフサイクルによって,ボランティア活動の継続要因は異なっていると考えることができる.本研究ではボランティア活動の継続要因を明らかにする目的で,287人のボランティアを対象に調査を行った.サンプルを若年層(30歳未満),壮年層(30歳以上60歳未満),高齢層(60歳以上)の3つの年齢層別クラスタに区分した上で,個人的要因変数,参加動機要因変数,状況への態度要因変数の3種類の変数を用いて,重回帰分析を行った.その結果,年齢層毎に,活動継続要因は異なっていた.調査から明らかになった継続要因の差異について,ライフサイクル別に生じる地域生活上のニーズの観点から考察した.<br>
著者
吉田 忠彦 桜井 政成
出版者
近畿大学
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.313-325, 2004-03-25

従来のボランティアコーディネート理論,ボランティアマネジメント理論について批判的に考察を行った。次に,それらの理論の限界を克服し,新たなボランティアマネジメント・モデルの構築を図るために,戦略的人的資源管理論(SHRM)の適用可能性について論じた。SHRMを適用させた新たなボランティアマネジメント・モデルによって,NPOはその活動において競争優位を得ることができると考える。ここで提示した諸仮説の検証が今後の課題である。