著者
梅田 道生
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本年度は昨年度の後半に引き続いて東京大学において研究を行い, 選挙制度改革が有権者の政権評価や投票行動に与えた影響を検証するために, 近年発達したベイジアン動的線型モデルについての研究を行った。またこの手法の基礎となるベイズ統計学とコンピュータを利用したその応用法についても学んだ。さらにこのモデルを昨年度までに作成した1960年代より今日に至るまでの日本の有権者世論調査に関するデータセットに対して用い, 分析を進めた。分析の結果は近日中に論文としてまとめ, 学会において報告する予定である。また本研究課題の一部として, 昨年よりミシガン大学のマッケルウェイン教授と朝日新聞社が衆議院総選挙前にそれぞれの選挙区において行っている有権者調査の1979年以降のデータを用いた共同研究を行ったが, この研究の成果の一部である選挙区レベルでの政党支持及び無党派層の割合の推移と政党得票の関係について, 5月に京都大学で行われた2013年度日本選挙学会総会・研究会において報告することができた。そのほかの研究実績としては, 選挙区ごとの有権者と議員/候補者の政策選好の類似性, および現職優位性について論じた単独研究の成果をそれぞれ学会で報告したこと, 谷口将紀研究室のメンバーでの共同研究の成果を岩波書店『世界』にて発表したこと, さらにダートマス大学の堀内勇作教授との共同研究の成果を, 日本政治学会や米国政治学会などの学会で報告し, さらにその成果の一部に基づく論文を査読付研究誌に投稿したこと, 昨年度執筆した書評が出版されたことなどが挙げられる。
著者
後藤 千寿 梅田 道 大澤 友裕 甲田 明英 池上 遼 勝野 隼人 大野 佑城 安田 昌宏 水井 貴詞
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】ボノプラザンは、カリウムイオン競合型アシッドブロッカーとも呼ばれる、新たな作用機序を有する新しいカテゴリーのプロトンポンプ阻害薬(PPI)である。既存のPPIは、低マグネシウム血症を引き起こすことが報告されているが、ボノプラザンについては報告されていない。今回、ボノプラザンの投与が、既存のPPIと同様に低マグネシウム血症を引き起こすリスク因子であるかについて検討を行ったので報告する。【方法】2016年11月~2018年10月に、岐阜市民病院において血清マグネシウム(S-Mg)の測定がされた患者を対象に、遡及的に調査を行った。調査期間内におけるS-Mgの最低値が施設基準下限値(1.8mg/dL)未満を「未満群」、以上を「以上群」とし、2群間の差の検定にはFisher’s exact testを使用した。さらに、単変量解析においてp<0.2であった因子を独立変数とし、多重ロジスティック回帰分析を行った。なお、いずれもp<0.05の場合を有意差ありと判定した。【結果】対象患者は384名(男性:207名、女性177名)、平均年齢(±SD)は69.4(±17.0)歳であった。多変量解析の結果、「ボノプラザン投与」(オッズ比(OR):2.26、95%信頼区間(CI):1.17 – 4.37、p=0.02)および「マグネシウム製剤投与」(OR:0.42、CI:0.18 – 0.97、p=0.04)において有意差が見られた。【考察】既存のPPIと同様に、ボノプラザンの投与がS-Mg値低下のリスク因子である可能性が示唆された。そのため、新規PPIであるボノプラザンを投与されている患者においても、S-Mg値の低下に注意する必要があると考えられた。