著者
梶原 和美 緒方 祐子 中村 典史
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,口唇口蓋裂(Cleft Lip and/or Palate: CLP)の子どもとその家族に対する有効な心理的援助を実現するための方法論を提示することである。そのため(1)CLP児の母子関係に潜在する心理的問題,(2)CLPによる障碍が子どもの対他者関係,特に家族に及ぼす影響,(3)成人CLP者の回想における母子関係の変容過程を検討した。結果は,(1) 関係性構築の阻害要因と促進要因,(2) 構音障害への対処の重要性,(3) CLP者の人生岐路におけるレジリエンス(回復力)という観点から考察された。
著者
中山 二博 濱坂 卓郎 大勝 貴子 梶原 和美 小椋 幹記 黒江 和斗 伊藤 学而
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.49-57, 2003
被引用文献数
7

近年,増加している成人女性の矯正治療に伴う問題点を調査するため,鹿児島大学歯学部附属病院矯正科では,就業女性の矯正治療モニターを募集した。矯正治療モニターに応募した123名のうち,モニター選考の口腔診査に参加した67名にアンケート調査を行い,矯正治療を受けようと決めた動機と矯正治療モニターに応募した経緯を分析した。矯正治療の動機は,歯並びの見た目が悪い97%,顔貌が気になる66%,歯磨きがしにくい64%などであった。歯並びが気になり始めたのは13〜15歳,顔貌が気になり始めたのは16〜18歳であった。対象の90%は矯正治療の未経験者で,治療を受けなかった理由は治療費が高い82%,治療期間が長い75%などであった。応募の動機は,モニター募集に触発された88%,治療費が減額される78%,大学病院だから安心73%などであった。治療を始めようと思った理由は,モニター募集があったから82%,経済的余裕ができた46%,大人でも治療できると分かった39%などであった。モニター応募者には10代から審美的改善への欲求があった。受療に至らなかった理由として費用,治療期間などのほか,成人は矯正治療できないと考えていた者が3割もあり,矯正治療に対する正確な情報が不足していることが明らかになった。矯正治療モニターの募集が,結果的に成人の矯正治療に関する情報不足の解消と,潜在的治療希望者に受療のきっかけを与えた。