- 著者
-
加藤 直子
山岡 昌之
一條 智康
森下 勇
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.9, pp.609-615, 2003-09-01 (Released:2017-08-01)
- 参考文献数
- 5
多彩な解離症状を呈した15歳女子に対し,本人へのカウンセリングおよび薬物療法,さらに親へのガイダンスを行い,症状の改善が認められたので報告した.思春期の解離症状に対しては,退行的側面と前進発達的側面の理解が必要である.家族および治療者は,行動化や外傷体験の背後にある情緒に共感し,解離した体験をつなぐ補助自我的な役割を果たす一方で,発達阻害的な退行を助長しないことが肝要であると思われた.解離症状に伴う強い不安や興奮,身体化症状には薬物療法が有効であった.