著者
黒木 直美 宮下 奈々 日野 義之 茅嶋 康太郎 藤野 善久 高田 幹夫 永田 智久 山瀧 一 櫻木 園子 菅 裕彦 森田 哲也 伊藤 昭好 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.49-59, 2009 (Released:2009-10-08)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

小規模事業場において良好実践を行っている事業者の産業保健ニーズに関する質的調査:黒木直美ほか.産業医科大学医学部公衆衛生学―本研究では,小規模事業場における事業者の産業保健ニーズあるいは良好実践の動機を把握することを目的とした.これまでの調査では小規模事業場における産業保健活動の遅れが報告されている.これらの知見は主に質問紙調査から得られたものである.しかし,小規模事業場には事業者の意識が直接反映されるという特徴があり,積極的に産業保健活動に取り組んでいる事業場も存在している.このような小規模事業場の良好実践例において,事業者のニーズを分析した研究はこれまでにない.産業保健に対する事業者の動機を明らかにすることは小規模事業場間に良好実践を水平展開する一助となると考えられる.そこで,我々は産業保健活動の良好実践が行われている小規模事業場10社の事業者と半構造化面接を行い,その逐語録をKJ法を用いた質的手法で分析した.その結果,事業者はもっぱら「よい会社」,「よい経営」を強く意識していることが明らかになった.「よい経営」のための要素には「人材確保」,「取引先の信用」,「社会的信用」,「社長自身の健康」という4つがあった.事業者はこれらの要素を達成するため職場の安全,従業員の健康に関する活動は当たり前であると考えていた.さらに,具体的な活動には「コストの問題」,「担当者の問題」,「時間がない」,「外部資源」という既知の制約があった.調査結果から,経営と安全衛生活動を関連づけることが小規模事業場における安全衛生活動の向上に寄与すると考えられた. (産衛誌2009; 51: 49-59)
著者
松林 直 広山 夏生 森田 哲也 東 豊 児島 達美 玉井 一 長門 宏
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.519-524, 1996-08-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9

原発性甲状腺機能低下症を伴ったACTH/LH欠損症の48歳の女性を経験した。患者は32歳時頃より、全身倦怠感、めまい、嘔気、不安感、悲哀感などを訴え、38歳時、当科関連N病院心療内科を受診し、不安、うつ状態を伴った自律神経失調症と診断された。夫婦関係が問題とされ、心理教育的アプローチが夫婦になされたが、症状の消失はなく、患者は頻回の入退院を繰り返した。平成5年、多彩な症状が持続していることから、内分泌疾患、特に下垂体疾患を疑い、関連検査を行ったところ、原発性甲状腺機能低下症を伴うACTH/LH欠損症が明らかとなり、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンの補償療法を行ったところ、症状の改善をみた。
著者
森田 哲也
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.127-131, 2005-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
5

近年産業の現場でメンタルヘルスが重要視され, その専門家の関わりが望まれ, その結果, 心身医学関係者はより強く産業医学と関わりをもつであろう. 産業衛生の「作業関連疾患」という概念は, 作業が発症, 再発, 増悪因子になっている疾患で, 作業要因として心理社会的な要因が含まれ, 心身症と類似した概念である. 疾病予防や健康増進に重点を置き, 組織集団を対象としてきた産業医学に対し, 個人を対象としてきた心身医学の経験や治療技法などはメンタルヘルスケアだけでなく, 生活習慣病の予防や改善に役立てることができよう. また, 心療内科医が産業医として活動した場合, 労働者の仕事内容や職場環境を理解しやすく, より効果的な治療を行える可能性もあろう.
著者
筑地 公成 本山 貢 大藤 博美 森田 哲也 角南 良幸 田中 守 進藤 宗洋
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.63-71, 1999-05-20
参考文献数
25
被引用文献数
5

本研究では, 中年労働者43名を対象として, 50%V^^.O_<2max>強度に相当する有酸素性トレーニングを主体とする「健康づくり教室」を2ヵ月間実施し, 生理的指標とQOLにどの様な影響を及ぼすのかについて検討することと, THPの一貫として実施した「健康づくり教室」の有用性を検討することを目的とした. その結果, 2ヵ月間トレーニングを継続できた者は36名(83.7%)で, 高い継続率であった. トレーニングを継続できた群(運動継続群: 36名)はトレーニング後に体重, BMI, %fat, fat (kg), W/H 比はいずれも有意に低下していた (W/H比: P<0.05, それ以外: P<0.01). また、V^^.O_<2max>は有意に増加していた (V^^.O_<2max> (l/min) : P<0.05, V^^.O_<2max>/wt : P<0.01). トレーニングを途中で中止した群(運動脱落群: 7名)はすべての項目において有意な変化を認めなかった. 運動継続群はDBP, TC, LDL-c/HDL-c比は有意に低下し, HDL-cは有意に増加していた (LDL-c/HDL-c : P<0.01, それ以外: P<0.05). また, 運動脱落群はFBSに有意な増加を認めた(P<0.05). 運動継統群では身体症状, 労働意欲及びQOL全体に有意な改善を認めた (身体症状: P<0.05, それ以外: P<0.01). また運動脱落群はいずれの項目においても有意な変化を認めなかった. 運動継続群について, QOLの初期値とトレーニング前後のそれぞれの変化量との関連性を検討した結果, 身体症状, 感情状態, 快適感, 性意欲, 社会的活動, 認識能力の6項目について有意な負の相関関係が認められた (いずれもP<0.01). V^^.O_<2max>/Wtの変化量と身体症状の変化量との間に, 正相関関係が認められた (r=0.36, P<0.05). 以下のことから, 本研究で実施した低強度の有酸素性トレーニングを主体とした「健康づくり教室」は, 全身持久力の向上, 降圧効果, 血清脂質を改善させたことのみならず, QOLの改善にも十分期待できることが明らかとなった. またHTPの一貫として実施された「健康づくり教室」は, 心身両面にわたる総合的な健康づくりに対し, 理論的, 実際的に支援する結果を得ることができた.