著者
久保田 功 楠本 季佐子 楠 威志 村田 清高
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3Supplement2, pp.S172-S177, 2006-05-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
3

当科言語治療室を訪れた言語聴覚障害児に対して実施した言語学習能力診断検査 (ITPA) の結果を集計し、分析した。対象は4歳1カ月-9歳9カ月の102名 (男児72名、女児30名)。そのうち88名は言語発達遅滞であり、その他の14名は構音障害や吃音といった何らかの言語聴覚障害を持っていた。分析は各対象児の評価点に対して行った。その結果、視覚-運動回路に比べて聴覚-音声回路の平均値が低く、その中でも特に「文の構成」と「ことばの類推」が低かった。各項目の評価点の相関を見ると同じ回路同士で高く、「数の記憶」はほかの項目との相関が低かった。
著者
楠 威志 村田 清高
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.123-127, 1999-06-25
被引用文献数
1

喉頭全摘出術を受けた退院患者のQOLを検討するため, 近声会26人を対象にアンケート調査を行った.その結果を基にQOLに影響を及ぼす精神的, 身体的要因すなわち呼吸, 食事, 生活行動, 手術の満足度などについて検討した.無喉頭・気管呼吸者の愁訴の1位は嗅覚障害, 2位は「鼻がかみにくい」であった.両者共に鼻機能低下によるものであった.喉頭全摘出術を受けたことに対しての想いは, 回答者22人中21人が満足していた.その約半数以上が術後1年以内に満足を得ていた.現在の健康状態については回答者24人中3人が重複癌であった.喉摘後に胃癌(2人), 肺癌(1人)の手術を行っている.代用発声として食道発声が最も多く利用されていた.しかし, 咽頭全摘時年齢70歳以上の者は食道発声の習得できなかった.食道発声者の大多数は訓練し始めて1〜6ケ月の間に発声が可能となっていた.食道発声の利点については, 大多数が食道発声ができて, 自分自身に自身がもて外向的, 積極的になったと答えている.