著者
西宮 園美 楢木野 裕美
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.107-114, 2021 (Released:2021-07-31)
参考文献数
21

本研究は集中治療を受けている乳幼児をケアする看護師が『何か変』と察知する様相を明らかにすることを目的とした。方法は看護師11名に半構造化面接を行い質的帰納的に分析した。結果、3大カテゴリー、9カテゴリー、29サブカテゴリーを抽出した。1つ目の大カテゴリーは看護師が子どもの現在の一時的な状況から感覚的に察知した〔看護師の感覚によりとらえた子どもの様相〕で4カテゴリーから構成された。2つ目の大カテゴリーは看護師の判断軸からの変化により察知した〔子どもとのかかわりやケアの中でとらえた子どもの様相〕で3カテゴリーから構成された。3つ目の大カテゴリーはほかの看護師や家族からの指摘・情報から察知した〔他者からの指摘・情報を手がかりにとらえた子どもの様相〕で2カテゴリーから構成された。しかし実際には1つの様相だけでなく、さまざまな察知方法を組み合わせて子どもを『何か変』と的確にとらえようとしていることが考えられた。
著者
勝田 仁美 片田 範子 蝦名 美智子 二宮 啓子 半田 浩美 鈴木 敦子 楢木野 裕美 鎌田 佳奈美 筒井 真優美 飯村 直子 込山 洋美 村田 恵子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.12-25, 2001-08-31
参考文献数
17
被引用文献数
14 1

子どもが検査・処置をどのように体験しているのかを明らかにすることを目的として参加観察を行い, 子どもが処置を体験するプロセスの中で「覚悟」という現象と, 覚悟に至る要因が抽出された. 処置を受ける子どもと親, および処置を担当した看護者・医師の4者18組を対象とし, おもにgrounded theory approachを用いて, 処置場面の参加観察, および処置に対する思い・説明内容等について半構成的インタビューを実施し分析を行った. その結果, 以下のことが明らかとなった.<BR>子どもの"覚悟"という現象は,「処置を受けるにあたり, 情緒的・認知的・精神運動的側面のバランスをとり, 処置を主体的に受容している状態」であった. そして, 覚悟に影響を与える要因として【まわりのゆとり】【過去の経験のイメージ】【子どもが選択できる可能性】【まわりとの一体化】【処置に対する代償利益の確認】【自らする覚悟の宣言】が挙げられた.<BR>覚悟に影響する6つの要因はどれもが子どもの自我機能強化につながっており, その強化の仕方によって, (1) 子ども自身がもともと持っている認知・情動との調整をはかって行動化する力 (自我機能) が十分に発揮されるあり方, (2) 子どもが認知と情動との調整をはかる主体であるということをまわりも認めることで, 子どもが自己コントロール感を取り戻し, 自ら行動化しやすくなるあり方, (3) 子どもの中で拭いきれない強い情動のゆれ (自我機能を弱めさせる外界からの力) にタイミングよくふんぎりをつけさせて行動化できるあり方, の3つに大別され構造化されていた.
著者
吉田 美幸 楢木野 裕美 鈴木 敦子
出版者
福井医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、検査・処置を受ける幼児後期の子どもの調整能力発揮への支援プログラムを開発し、その効果を明らかにすることを目的とした。文献検討および、医療処置のなかでも点滴・採血を受ける幼児後期の子どもの自己調整機能とその発揮に向けた関わりに対する看護師への面接調査結果を基にプログラムを作成した。プログラム研修を看護師に実施し、研修前後の看護師のケア実践について調査した。その結果、研修後の看護師は、幼児後期の子どもの自己調整機能の発揮に向けた意図的な観察や実践をし、子どもと共にケアを探求する姿勢へと変化していく一方、多忙な中でのプログラム活用方法への検討の必要性が示唆された。
著者
鎌田 佳奈美 楢木野 裕美 石原 あや 吉川 彰二 通山 由美子 森 瞳子 鈴木 敦子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、看護職が潜在的な虐待のリスクをもつ家族をアセスメントするためのツールを開発することを目的とした。小児病棟および救急病棟、小児外来、救急外来、保健センターに勤務する看護職12名の面接調査を行ない、虐待が起こるかもしれないと感じた子どもや家族の言動を抽出した。これらの項目の重視度について、子どもと家族にかかわりをもつ看護職を対象に質問紙調査を実施した。全国500床以上の病院および小児専門病院で、調査の協力に承諾の得られた72病院に勤務している看護職729人に質問紙を送付し郵送にて回収し、326人(回収率44.7%)より回答を得た。子どもと家族の観察項目で看護師が重要視する割合の高い内容をもとに、潜在的な虐待リスクをもつ家族をアセスメントするツールの試案を作成した。