著者
槇 誠司 佐藤 和紀 板垣 翔大 齋藤 玲 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.045-048, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
7

情報化社会に向かう今日において,統計的リテラシーを身につけることがより重視されている.本研究では,グラフの傾向を読み取り,考察し,それを根拠にして示された事象について批判する能力(以下,グラフ解釈能力と呼ぶ)を短時間で児童に身につけさせるための学習を授業時間内で実施した.この学習は,児童がグラフ解釈を行った結果を100字以内でまとめ,それらの内容を隣同士で互いに話し合い,最後に全体に向けて発表するまでを10分間でおこなう学習活動である.グラフ解釈に関する短時間学習を14回実施した場合,クラス全体のグラフ解釈能力は7回目頃から向上する傾向にあることが示唆された.さらに,グラフ解釈に関する短時間学習を経験した児童は,これを経験しない児童と比較して,グラフ解釈に関するテストの得点が高いことが明らかとなり,本学習の効果が示唆された.
著者
槇 誠司 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.27-36, 2016 (Released:2017-02-04)
参考文献数
12

本研究では,「児童は単純な表やグラフ等の情報を読み取ることができるが,代表値等についての理解が十分ではない傾向にある」と「児童は単純な表やグラフ等の情報を批判的に読み取ることができない傾向にある」という児童の統計的リテラシーに関する2点の課題について,算数科の教科書に見られる問題を解くのに必要な統計的リテラシー項目をWatsonらによる基準に則り分類することによって,その要因を見出すことを試みた.その結果,前者は,グラフや表などの統計図表を用いたり読み取ったりする項目の割合が高い一方で,代表値等を理解する項目の割合が低いことに起因し,後者は,批判的思考力に関する項目の割合が低いことに起因することが明らかになった.このことから算数科の教科書に見られる問題を解くのに必要な統計的リテラシー項目の割合の変動は,児童が学習する統計的リテラシー項目の内容の定着度に影響を与えていることが示された.