著者
樋熊 亜衣
出版者
首都大学東京・都立大学社会学研究会
雑誌
社会学論考
巻号頁・発行日
no.38, pp.29-58, 2017-11

本稿は1950年から2009年までに女性団体により発行されたミニコミ(127誌)のテキストマイニングを行ない,彼女たちの話題の変遷を明らかにした.ミニコミとはオルタナティブ・メディアの一つであり,フェミニズムの発展には欠かすことのできない存在である.女性たちはこれまで,ミニコミという紙面のうえでコミュニケーションを図ってきた.そこで女性たちは何について語ってきたのだろうか,これを明らかにすることが本稿の目的である.筆者はまず,ミニコミの記事のタイトルに用いられた語上位30位を抽出した.ここで注目したのは,①呼称の変化(婦人,女,女性),②時代を反映した語(例えば優生保護や家庭科など)である.またある時期に現れ,その後継続して使用され続けている語(差別,性,人権,暴力)についても説明した.最後に,新しい問題として「差別」と「性」の語について,それぞれの共起する語を抽出した.「差別」は,「条約」「男女」「性」「賃金」「雇用」「婚外子」といった語と共起が多くみられた.また「性」と共起する語は「差別」から「暴力」へ移行しており,「性」を語るうえで「暴力」という概念が重要な役割を果たしていたと主張した.
著者
渡邉 歩 樋熊 亜衣 河野 禎之
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
雑誌
大学改革・学位研究 (ISSN:27583708)
巻号頁・発行日
pp.2024.25001, (Released:2023-08-31)
参考文献数
34

本研究は,日本の大学がLGBTQ学生に対してどのような対応を行っているかを探索的に調査し,具体的な取組内容の項目を明らかにすることで,大学のLGBTQ対応の実態把握と体制整備に向けた具体的な示唆を得ることを目的とした。全国308校を対象に,LGBTQ学生対応に関するホームページ上の掲載情報についてインターネット検索により分析した結果,約4割の大学で記述があり,特に国立大学や学生数が5,000名以上の大学で約6割程度と掲載率が高いことが示された。さらに,具体的なガイドラインを有する45校を分析した結果,取組内容の項目は方針,組織・体制,性別・氏名情報の取り扱い,授業・実習,学生生活,在学前後の対応の6つに大別され,特に性別に違和感がある学生に関わる項目が多いことが分かった。これらの結果に加え,大学のLGBTQ学生対応に関する体制整備に向けて,大学間の連携のほか,大学の主体的なガイドライン作り,高大連携・キャリア支援,当事者を包摂する地域連携等の必要性が示唆された。
著者
樋熊 亜衣
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
2018

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