著者
横井 和美 山本 はるみ 北村 幸恵 平井 由香里
出版者
滋賀県立大学
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.61-70, 2005-03-31

背景 成人看護学では、看護の対象者である成人を総合的に理解し、成人がもつ健康へのニーズに対応できる看護を学ぶ。成人の役割や発達課題及び心理的ストレスの内容は、成人の発達段階別にその時期の特性として提示されているが、健康観や健康行動の特性については発達課題との関連で個別なものとし発達段階別での傾向や特性は示されていない。この健康観や健康行動は健康自己管理を左右する因子ともなり、発達段階別の特徴を理解しておくことは看護介入する上で必要な情報となる。目的 成人各期の人々の健康観や健康行動の特性を学習することは、対象者の状態にあった看護介入を行なう上でも重要であることから、成人各期の健康観や健康行動を調査し、生理的年齢区分での発達段階別に相違があるものか否かを検討し、成人期の人々の健康観や健康行動についての特徴理解を深める。対象及び方法 看護学生とその家族及び看護学生を取り巻く人々213名を対象に、健康観と普段の健康への取り組み内容の健康行動と、実際の不健康を生じたときの健康への回復行動をみるため風邪の対処方法についてのアンケート調査を平成15年4月〜7月に行った。発達段階別に健康観・普段の健康行動、風邪に対する対処方法を比較した。結果 青年期・成人前期の子世代と、成人中期・成熟期の親世代、老年期の祖父母世代間での比較では、健康観や普段の健康行動の内容に有意差(p<0.01)を認めた。個人の精神的な内容(気分爽快、リラックス等)に健康を求めた人は青年・成人前期に多かった。一方、普段の健康行動で、老年期の方は、医療への受診や社会活動の参加を他の発達段階の方よりも多く行なっていた。しかし、実際の風邪の対処方法の内容に各発達段階別の差は認められなかった。いずれの発達段階でも風邪症状の発熱の有無で対処法方が異なり、発熱を機に専門家に頼ることが示された。結語 成人の健康観や健康行動は、青年・成人前期の子世代と成人中期・成熟期の親世代、老年期の祖父母世代で相違があることが示された。しかし、実際の風邪の対処方法では発達段階の差はなく、症状によって健康行動が左右され、看護介入するタイミングが示唆された。
著者
奥津 文子 星野 明子 江川 隆子 荒川 千登世 横井 和美 本田 可奈子 山田 豊子 赤澤 千春 山本 多香子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

リンパ浮腫セルフケア支援における携帯電話使用群・通常支援群共、6か月間に蜂窩織炎等の合併症を発症した者はいなかった。周囲径については、有意差は見られなかったが、インピーダンスによる水分量については、携帯電話使用群が有意に減少しており、浮腫が改善していることが分かった。セルフケア実施状況については、携帯電話使用群が有意に実施状況が高かった。抑うつ状態については、携帯電話使用群が有意に低かった。以上より、リンパ浮腫患者に対する携帯電話による支援は、セルフケア実施や継続、水分量の減少、および抑うつ症状の改善に有効であることが分かった。