著者
横山 士吉 益子 信郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.637-645, 2000

分子構造の繰返しに, アゾベンゼン色素を有するデンドリマーが高い分子内組織性を有し, 超分極率を有効に増幅していることを示した. 分子集合体から発生する2次非線形光学現象の起源は, 反転対象中心のない分子配向構造であるので, デンドリマーが分子内で高度に組織化し1軸配向を有していることが明らかとなった. 本研究では超分極率の測定をHyper-Rayleigh散乱法で行い, 解析したデンドリマーの2次非線形光学特性は, 溶液中における分子コンホメーションに反映している. したがって, デンドリマーの分子組織構造が, 分子内の自己組織化によって構築されていることを示すとともに, 観察した超分極率の増幅がデンドリマー組織体によって発現した特異な現象であることを示した. 本誌では, 以上の結論に併せて, 詳細を量子化学的に考察する目的でデンドリマーの3次構造と非線形光学現象について分子動力学計算と分子軌道計算を用いて解析した.