著者
長崎 幸夫
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:挑戦的萌芽研究2010-2011
著者
長崎 幸夫
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.327-335, 2015-09-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
10

近年、活性酸素種(ROS)がさまざまな疾患の原因や重篤化に、大きな影響を与えることがわかってきている。ROSを消去するにはビタミンCやビタミンEなどの天然物や合成抗酸化剤など種々あるものの、多くの臨床結果で「よい」という結果が出たものはない。実は生体内の電子伝達系に代表される反応では、ROSが正常なエネルギーを産生するために必要であり、正常なROSの産生を妨げず、疾病に関与するROSを選択的に消去することが重要なポイントである。非特異的に体内に広がり、正常細胞やミトコンドリア内のレドックス反応を妨害する低分子抗酸化物質は、使用には限界があるのである。我々は、代謝可能な中分子量ポリマーにROS消去能をつくり込み、正常な細胞に入り込むことがなく、疾病に関与するROSを選択的に取り除く、新しいナノメディシンの設計を進めてきた。虚血再灌流障害に対するレドックスナノメディシンの効果を紹介する。
著者
長崎 幸夫
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

①両親媒性高分子の疎水部にROS消去能を有するニトロキシドラジカルを結合し、その水中での自己組織化による40nm程度のナノ粒子を作製した(RNP)。このRNPをナノ反応場とし、TEOSの可溶化とゾルゲル法によりシリカ含有レドックスナノ粒子siRNPを作製した。ここでRNPの疎水性コア内にはアミノ基を導入しているため、アミン塩基が触媒になってゾルゲル反応が進行するとともに形成したシリカへのアミノ基の配位によりRNPの物理架橋が起こり安定化することがポイントとなる。作製したsiRNPの②物理化学特性、③安全性試験、④吸着特性、⑤抗酸化試験、⑥動物評価を中心に検討を行った。siRNPからの未反応物の漏出や腹腔内からリンパ系を介しての血中取り込みを避けることが重要であり、ESR、ICP-MS等を利用して解析した。また吸着能の評価をin vivoで行った。さらには腹膜に生じる活性酸素種の消去に伴うサイトカイン産生、脂質過酸化、タンパクカルボニル化、8-OHdG定量により腹膜の酸化ストレスを評価するとともにNF-κBの活性化抑制効果を見積もった。このようにして新しいsiRNPによって被嚢性腹膜硬化症のメカニズムをin vivoで評価した。さらに後期ではヒドロキシアパタイトやポーラスシリカ等を利用した新しい融合材料の調製を行い、腹膜透析における老廃物吸着能の向上を達成した。このように本研究では安全でQOLの高い腹膜透析法の創出を行い、高い可能性を示すことが出来た。さらに作成したsiRNPは消化管障害の少ない経口DDS材料として評価し、高い有用性を示した。
著者
長崎 幸夫
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:新学術領域研究2008-2012
著者
前田 瑞夫 高原 淳 高井 まどか 栗原 和枝 長崎 幸夫 三浦 佳子 菊池 明彦 松岡 秀樹 北野 博巳 佐藤 縁 熊木 治郎 山岡 哲二 宮原 裕二
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

本領域では、ソフト界面に関わる先導的研究や若手研究者による挑戦的研究を糾合・組織化することにより、ソフト界面が示す新奇現象を解明し、その特性を活かした新機能材料を創出することを目指して研究を進めてきた。その成果は年度ごとの成果報告書・公開シンポジウム等により積極的に発信してきたが、それだけでは領域の全体像が見えにくいのも事実である。この点を補うために領域横断的な共通課題について公開ワークショップを開催することで俯瞰的な見方からの成果発信に努めてきた。この度、5年間の研究を取りまとめることで、新しい学術領域の確立という観点から、研究成果の全体像の公開・普及と内外の関連研究者のより一層の交流ならびに若手研究者の育成に努めた。具体的には、最終報告会として7月に東京大学駒場キャンパスにて公開シンポジウムを開催し、また同時にニュースレター12号を発行し配布ならびにウェッブ公開することで、成果の普及、領域内外の研究者との交流に努めた。また年度末の3月には、領域内の研究発表会を開催し、本領域研究に参画した研究者の互いの交流や成果取り纏め、ならびに今後の活動に関する意見交換を行った。10月には領域代表者の前田が日本化学会にて、また11月には事務担当者の長崎が日本バイオマテリアル学会大会にて、本領域の成果をアピールする招待講演を行ったほか、各研究グループにおいては、各自アウトリーチ活動の継続による国民の理解深化に努めた。一方で、領域ホームページの継続運用により持続的に広報活動を行った。また日本MRSに「ソフトインターフェース研究会」の設置を申請し、今後の継続的発展のためのプラットフォームを構築した。さらには、ソフト界面に関する英文教科書の執筆・編集を引き続き進めている。