著者
横山 邦彦 柴 和弘
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

無機ヨー素(I-127)の成人1日必要量は150μgであるのに対して,日本人の平均摂取量は,欧米人よりも極端に多く750〜1,000μg程度である.放射性ヨード(I-131)による甲状腺癌のターゲティング療法は,転移・再発例の唯一の効果ある治療法である.この療法を行う場合には,治療効果を可及的に高めるための前処置として,厳重なヨード摂取制限を2週間以上行う.何故なら,3,700MBq(100mCi)の治療用放射性ヨード(I-131)に含まれるヨードの重量は,わずか10μgに過ぎないためである.症例毎にライフスタイルやヨード含有食品(海藻類)の摂取習慣および体内のヨードプールが異なり,画一的なヨード摂取制限プロトコールには限界がある.さらに,近年,思いもよらぬさまざまな食品・飲料(鱈,アサヒ十六茶やアクエリアス)にヨードが含まれることが判明してきたため,ヨード摂取制限をなお一層困難にしている.今年度は,無機ヨー素の定量法法を検討し,種々の食品でのヨー素含量を実測した.実測の検出限界は,0.05mg/100gであった.アジ0.01-0.03mg/100g,サバ0.01-0.02mg/100g,サンマ0.01g/100g,タイ0.02-0.03mg/100g,カレイ0.01-0.02mg/100g,ヒラメ0.01-0.02mg/100g,マグロ0.01-0.02mg/100g,サワラ0.02mg/100g,サケ0.01-0.02mg/100g,アサリ0.01mg/100g,ハマグリ0.02mg/100g,シジミ0.01mg/100g,甘エビ0.01-0.02mg/100g,十六茶0.02mg/100g,アクエリアス0.01mg/100gポカリスエット0.01mg/100g海産物に関してはヨー素含量が比較的少なく,また含有物として昆布エキスを含む飲料もヨー素含量は1日必要量は150μgに対して,十分許容範囲内であった.
著者
(公社)日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 放射性医薬品安全性専門委員会 松田 博史 上原 知也 岡沢 秀彦 水村 直 横山 邦彦 吉村 真奈
出版者
一般社団法人 日本核医学会
雑誌
核医学 (ISSN:21899932)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.509-519, 2017 (Released:2017-02-24)
参考文献数
4

要旨:本調査は,平成27 年度に投与された放射性医薬品に関連して発生した副作用事例の発生頻度とその内容を調べる目的で実施された.調査は,調査票を核医学診療施設に送付して回答を求めるアンケート方式で実施した.調査対象1,274 施設のうち,981 施設より回答が得られた.副作用事例は15 件報告された.回答を得た981 施設における放射性医薬品の投与件数は1,056,828 件であった.副作用発生率は100,000 件あたり1.4 件であった.不良品事例の報告はなかった.
著者
近森 淳二 長岡 豊 森 隆 井内 敬二 飯岡 壮吾 南城 悟 沢村 献児 渡辺 幸司 差 健栄 横山 邦彦 瀬良 好澄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, 1974-12-30

50才男子.石綿の混綿工の職業歴あり.昭和49年4月9日.石綿肺に合併せる左下葉肺癌の診断にて左下葉切除術施行.術後約1ヵ月頃より原因不明の消化管出血を来し,術後75日目に死亡した.剖検により胃体部に2箇,空腸に1箇,後腹膜に小児手拳大の癌腫を認めた.組織学的にはいずれも肺と同様の低分化型腺癌であった.しかし肝転移,胃周囲臓器の所属リンパ節転移および癌性腹膜炎を認めなかった点から,石綿肺に合併せる多発性癌腫(胃,空腸,肺および後腹膜)と考えられる.