著者
楮原 京子 加野 直巳 山口 和雄 横田 俊之
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.345-357, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
23

新潟沿岸はひずみ集中帯に属し,ここでは1964年新潟地震,2007年新潟県中越沖地震が発生している。しかし,沿岸域は地質情報の乏しい領域であり,海陸境界部の地質構造の詳細は解明されていない。本研究では新潟海岸南西部において陸から海へと連続する活断層と推定されていた長岡平野西縁断層帯・角田・弥彦断層の位置・形状を明らかにするため,断層推定位置を横断する2測線での新規反射法地震探査と石油公団(現・独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)基礎物理探査「新潟~富山浅海域」の再解析を行った。データの処理は共通反射点(CMP)重合法を用いた。その結果,陸域断面,海陸接合断面,海域断面のいずれにおいても,堆積層が東へ大きく撓む構造が認められ,角田・弥彦断層が明らかに陸域から海域にのびる断層であることが示された。断層上盤側の堆積構造ならびに褶曲構造の特徴から,角田・弥彦断層がテクトニックインバージョンを背景とする逆断層で,その逆断層としての活動開始時期は西山層堆積中であると推定された。そして,西山層上面を基準とした場合,角田・弥彦断層に付帯する褶曲変形は幅約2kmにおよび,角田・弥彦断層の分布は海岸線付近において屈曲・分岐していることが明らかとなった。