著者
橋本 信子 Nobuko Hashimoto
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
人文研ブックレット = Jimbunken Booklet
巻号頁・発行日
no.72, pp.128-145, 2021-11-22

人文科学研究所連続講座2021第3回会期・会場: 2021年7月2日:Zoomウェビナーによるオンライン開催
著者
橋本 信子
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.233-238, 1993

マーガレット・ローレンスの「石造りの天使」はカナダを舞台とした作品としては初めてのものである.主人公ヘイガーは今や90歳で, 病のために死が真近に迫り, 自分のために不幸になった愛する夫や息子のことを思い出し, 慙愧に堪えない.マナワカ墓地に建つ, 目の無い石造りの天使に象徴されるように, ヘイガーは他人の苦しみ, 痛みに対して盲目で, 彼女の誇りが人に優しくすることを許さなかった.死の恐怖に捉えられているヘイガーは突然, 「誇りが私を孤独にさせてきた.私はいつも心から喜びたかったのだ.」と悟る.そう悟ることによって石のようだったヘイガーも人間的な気持ちを取り戻し, 心の安らぎを得ることができた.