著者
大谷 真 倉林 宏明 伊東 一典 橋本 昌巳 香山 瑞恵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.177, pp.29-34, 2013-08-09

バイノーラル方式による立体音響再生システムの再生系の一つとして,小数のスピーカとクロストークキャンセラを用いるトランスオーラル再生システムがある.ヘッドホン再生とは異なり,頭部及び耳介への装置の接触なしにバイノーラル信号を呈示できることがトランスオーラル再生の利点であるが,トランスオーラル再生で利用されるクロストークキャンセラが音像定位や聴覚による空間知覚において重要な役割を果たす頭部運動に対して頑健でないため,受聴者の頭部運動が制限されるという問題があった.そこで,我々は深度画像を利用した非接触ヘッドトラッキングを利用して,頭部運動に追従してクロストークキャンセラフィルタを更新する動的トランスオーラル再生システムを開発した.開発した動的トランスオーラル再生システムを用いた音像定位実験の結果から,頭部運動条件では,頭部静止条件よりも音像方向が高い精度で知覚され,開発したシステムが有効に働いていることが分かった.一方,音像距離については頭部静止条件の方が高い精度で知覚される場合が見られた.また,両条件において頭内定位はほとんど生じなかった.
著者
西澤 達夫 井上 裕翔 大谷 真 橋本 昌巳 香山 瑞恵 伊東 一典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.55-60, 2012-10-20

タッチパネルは,画面に触って直接操作が可能なため,GUIとの組み合わせで多くの機能を実現できる直感的な使い易いインタフェースとして普及が加速している.一方で視覚障害者にとっては,表面が平らで,どこを触ったら良いのかが分からないため,使い難いインタフェースとして敬遠されてきた.しかし,スマートフォンを始めとして,視覚障害者のタッチパネル搭載機器に対する利用要求が,今後益々高まるものと予測される.本研究では,指でタッチパネルを触った位置を,HRTFを用いた聴覚ディスプレイでフィードバックすることで,視覚障害者によるタッチパネルの操作性改善の可能性を検討したので報告する.
著者
大西 純平 竹内 瞬 橋本 昌巳 伊東 一典 香山 瑞恵 為末 隆弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.219, pp.19-24, 2008-09-18
被引用文献数
1

重度障害者とのコミュニケーション手法として透明文字盤がある。この手法では文字盤をはさんで障害者と介護者が対面し、文字盤を動かして障害者の注視文字と介護者の視線を一致させることで、障害者の注視文字を見出している。我々は、この手法をPC上で模擬した視線入力システムを開発している。ウェブカメラにより撮影した眼の画像から画像処理により虹彩位置を求めて視線検出を行い、その方向に応じてディスプレイ上の文宇盤を移動して、選択エリアに注視文字を導いている。入力文字の確定にはまばたきを利用している。
著者
矢田 北川 和則 米沢 義道 伊東 一典 橋本 昌巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
信学技報
巻号頁・発行日
pp.25-30, 1994
被引用文献数
5

空間の1点からあたかもそこにスピーカがあるように音を発射する空中音源システムが開発された。可聴領域の周波数の信号で振幅変調された40キロヘルツの超音波が1個の圧電型のトランスジューサから発射され、その波はパラメトリックアレイ効果によって復調され、指向性の高い可聴音ビームが発生した。この音波はさらに放物面上で反射されて1点に収束された。この波は収束後、再び発散するがこの時、限られた範囲内で、収束点にあると仮定した実音源と同じ波面を持って広がってゆく。そこで、その拡散領域に聴取者がいるとその可聴音の音源位置を収束点に認識するであろう。これが我々が名付け、そして存在を期待した空中音源である。実験の結果、復調された可聴音は十分高いレベルで聴くことができ、空中音源の可能性が確認された。
著者
藤沢 竹弘 米澤 義道 伊東 一典 橋本 昌巳 金子 昌浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.397, pp.17-22, 2000-10-20
被引用文献数
1

空中超音波を可聴信号によって振幅変調した音波はパラメトリックアレー効果で指向性のある可聴音場を形成するが、この超音波を放物面でビーム状にすると、可聴音場も鋭いビーム状とすることができる。我々はビーム状可聴音が聴覚による歩行誘導など様々な応用の可能性を考えている。例えば歩行誘導はビーム中から外れないようにビームに沿って聴取位置を移動させていくことによって実現するが、この場合ビーム音場中での音源定位がどのように行われるかが重要となる。今回、可聴音ビームの形成とその定位特性と多少のビームトラッキング特性について調べたので報告する。