著者
高田 智和 矢田 勉 斎藤 達哉
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.438-446, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

変体仮名は平仮名の異体字であるが,現代の日常生活ではほとんど用いられていない。しかし,1947年以前には命名に使われ,戸籍など行政実務において変体仮名の文字コード標準化のニーズがある。一方,日本語文字・表記史や日本史学の学術用途においても,変体仮名をコンピューターで扱うニーズがある。そこで,活版印刷やデジタルフォントから集字し,学術情報交換用変体仮名セットを選定した。このセットには,変体仮名の機能的使い分けを表現するため,同字母異体も収録した。行政用途の変体仮名と合わせ,2015年10月にISO/IEC 10646規格への追加提案を予定している。

85 0 0 0 OA 光学的音響計測

著者
矢田部 浩平 石川 憲治 谷川 理佐子 及川 靖広
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.259-268, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)
参考文献数
66
被引用文献数
1

音は空気の疎密変化なので,空気の密度に依存する屈折率を光学系で検出することで,音を非接触に録ることができ,実体の存在するマイクロホンでは扱えない音場も光によって計測することができる.本稿では,筆者らがこれまで取り組んできた「空中可聴音の光学的音響計測」の歴史や原理,用いている2種類の干渉計(レーザドップラー振動計・偏光高速度干渉計)の光学的内容などについて概説し,光でしか計測できない実際の音場への適用例を幾つか紹介する.
著者
小松 聖史 矢田部 智昭 栗山 直英 中村 智之 幸村 英文 西田 修
出版者
一般社団法人 日本呼吸療法医学会
雑誌
人工呼吸 (ISSN:09109927)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.58-62, 2022 (Released:2022-05-30)
参考文献数
18

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の他臓器合併症の1つに、膵臓への直接的な臓器障害が疑われる急性膵炎の報告がある。今回、ICUに入室したCOVID-19患者における膵障害発生頻度および因子を検討するために後方視研究を実施した。2020年3月から2021年6月にICUに入室した30症例を対象とした。膵障害は、アミラーゼまたはリパーゼの正常上限値の3倍以上または、CT上膵臓に急性膵炎に伴う異常所見を認める場合とし、両者を満たしたものを急性膵炎と定義した。膵障害を22例(73%)で認め、このうち3例は急性膵炎を発症した。APACHE(acute physiology and chronic health evaluation)Ⅱスコア、入室時のP/F比に膵障害群と非膵障害群の両群間で有意差はなかった。SOFA(sequential organ failure assessment)、人工呼吸管理患者の割合、ステロイド使用患者の割合は膵障害群で有意に高かった(8[5,10]vs. 5[1,6],p=0.04;95 vs. 50%,p=0.01;100 vs. 50%,p=0.003)。腹臥位の実施、入室から腹臥位開始までの日数、および施行期間に両群で有意差はなかった。本研究から、集中治療を要するCOVID-19患者の73%で膵障害を有することが明らかになった。
著者
矢田部 浩平
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-36, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
124

位相復元は,複素数として表現されたデータの絶対値のみから,元の複素信号を復元する技術である.絶対値を取ることによって失われるのは偏角の情報なので,偏角を復元すれば元の信号を得ることができる.複素信号の偏角は位相とも呼ばれるので,位相復元という名前がついている.位相復元は,光学分野では位相回復と呼ばれて古くから研究されており,そのため光学計測に則った問題設定や手法が中心的に研究されている.一方,音響信号処理においても位相復元が研究されているが,光学分野とは前提が異なるので,音響信号に対する特別な手法も考えられている.本稿では,前半で光学分野も含めた歴史的背景や一般の位相復元手法について概説した後に,後半で音響信号処理における位相復元についても述べる.特に,音響信号の短時間Fourier変換に基づく時間周波数領域の位相復元を扱う.
著者
矢田部 浩平
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.463-470, 2021-07-01 (Released:2021-08-01)
参考文献数
6
著者
矢田部 浩平
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.396-403, 2021-06-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
7
著者
矢田部 俊介
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-26, 2013-02-28

Recently some constructivists try to justify impredicative theories with coinduction which play a very significant role in computer science though it had been thought that predicativity is necessary for constructivity. In this paper we introduce these arguments, by Rathjen and by Coquand, and apply these argument to show a naive set theory CONS in FLew∀, which is intuitionistic logic minus the contraction rule, can be regarded as constructive.
著者
矢田部 俊介
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-32, 2015-03-31

Truth theories like the Friedman-Sheard's truth theory (FS) have two rules, T-in rule and T-out rule, about introduction and elimination of the truth predicate. They look like the introduction rule and the elimination rule of a logical connective. From the proof theoretic semantics viewpoint, one might think that the truth predicate is a logical connective which is governed by these two rules. From this proof theoretic semantics viewpoint, the nature of truth is like deflationist's nature of truth. Additionally one of the most important things is that the truth predicate does not disturb the traceability of the argument from the premises to a conclusion. However, a crucial problem has been known: any criteria to be a logical connective, known as a "harmony" of the introduction rule and the elimination rule, are not satisfied because of the ω-inconsistency of FS. Such ω-inconsistency is caused by the fact that the truth predicate enables us to define paradoxical formulae of seemingly infinite-length. These formulae can be regarded as coinductive objects in terms of computer science. The reason of the failure of the harmony is that these criteria are defined not for coinductively defined paradoxical formulae but for inductively defined formulae. In this paper, we examine how we can extend the criteria for harmony for coinductive formulae.
著者
矢田 真城 魚住 龍史 田栗 正隆
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.81-116, 2020-06-01 (Released:2020-07-21)
参考文献数
63

When a causal effect between treatment and outcome variables is observed, effects on the outcome are of interest to investigate the mechanisms among the outcome and treatment. Indirect effect is defined as the causal effect of the treatment on the outcome via the mediator. Direct effect is defined as the causal effect of the treatment on the outcome that is not through the mediator. In this paper, we discuss the estimation of direct and indirect effects based on the framework of potential response models focusing on the 4-way decomposition. Direct and indirect effect estimations are illustrated with two examples where the outcome, mediator, covariate variables are continuous and categorical data. Moreover, we discuss the estimation of clausal effects and the effect decomposition in the settings that include confounder of mediator and outcome affected by treatment, multiple mediators, or time-varying treatment in the presence of time-dependent confounder.
著者
矢田 英樹
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.382-389, 2015-11-25 (Released:2019-02-20)
参考文献数
3
被引用文献数
2

日本で芳香消臭剤が使われ始めて60年あまり,現在では家庭での手軽なにおい対策商品として,また香りを積極的に楽しむ商品として多くの人に認知され多数使用されるようになっている.芳香消臭剤で使用されている香りは時代と共に大きく変化し,1980年頃までは香りには消臭という機能的価値が求められていた.1990年頃以降は機能的価値に加えて香りを楽しむといった情緒的価値も求められるようになってきた.使用される香りの種類も時代と共に大きく変化しており,当初の比較的シンプルな香りから,最近では上質で高級志向の香りが多く使用されるようになってきている.
著者
成田 悠輔 矢田 紘平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.2I5GS205, 2020 (Released:2020-06-19)

機械学習を利用した意思決定を行う際、過去に使われたことのない新しい意思決定アルゴリズムの性能を予測したい場面が多々ある。私たちは、過去に使われたアルゴリズムの下で蓄積されたデータを用い、新たなアルゴリズムの評価を行う方法を提案する。この方法は次の観察に基づく。機械学習を利用して意思決定を行う場合、そこから生成されるデータには、選択がランダムに行われるA/Bテスト的状況が含まれるという観察だ。例えば、多くの確率的な強化学習・バンディットアルゴリズムは選択をランダムに行うため、ほとんどA/Bテストそのものである。また、教師付き学習で予測された何らかのスコアがある基準値を上回るかどうかで選択を変えるアルゴリズムを考える。この場合、基準値付近では、ほぼ同じ状況であるにもかかわらず異なった選択が行われるため、同じくA/Bテスト的状況とみなせる。私たちはこの観察を一般の機械学習アルゴリズムについて定式化し、アルゴリズムが自然に生成したデータを用いてアルゴリズムを改善する手法を提示する。この手法が使える場面は、ウェブ広告配信から裁判の判決や金融機関の審査、そしてデータ駆動教育・医療まで多岐にわたる。
著者
矢田 新平 原 広幸 北野 寿 下内 可生里
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.687-690, 1994-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11

被毛や肢端に付着した陶芸用絵具あるいはその原料を舐めていた猫1頭 (8歳) と犬2頭 (2歳6ヵ月, 50日) が消化器症状および神経症状を呈し, 異常に高い血中鉛濃度54 (猫), 240 (犬1), 46 (犬2) μg/dlを示した. X線検査では成長期の症例犬2の長骨骨幹端に鉛線 (骨幹端骨硬化症) が認められた. キレート療法を行ったところ, 症例猫と症例犬2は回復したが, 症例犬1は激しい痙攣を起こして死亡した.