著者
香山 瑞恵 永田 奈央美 高谷 知憲 高橋 正憲
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.97-106, 2007
被引用文献数
2

教科「情報」の教科書は,平成15年度に初版が発刊され,平成17年度には改訂版が発刊されている.本研究ではこれらの教科書に関する定量的データに基づく分析から,その特徴を明らかにし,特に変化の著しい内容に関する変化傾向の定性的分析を通じて,普通教科「情報」の範囲と教授内容の方向性に関して考察した.その結果,情報Aでは「問題解決」に関する内容の記述が詳細かつ具体的になり,主体的な情報活用のための態度形成に関わる記述が増加した一方で,コンピュータリテラシーに相当する記述の本文内での扱いが減少していることがわかった.また情報Bでは,コンピュータの機能や仕組みに関する記述の精査が進み,社会における情報技術の在り方を示す内容が重視されていることがわかった.情報Cでは,情報A同様にリテラシー的記述の減少がみられ,さらに情報通信ネットワークの仕組みと適切なネットワークコミュニケーションの在り方とに関する記述が顕著に増加していた.
著者
吉田 祥 香山 瑞恵 池田 京子 山下 泰樹 伊東 一典 浅沼 和志
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-114, no.12, pp.1-6, 2017-02-20

本研究では,歌声の響きに関連する周波数特性の強度や割合の定量化を検討し,歌声評価指標として提案することを目的としている.これまでの研究で,心理的印象に影響を与える音響特徴量が歌唱指導により変化することが確認されている.また,この音響特徴量を評価するための声楽初学者に特化した歌唱評価指標を検討してきた.本稿では,これらの成果をふまえ,既提案指標の妥当性を再度検討した上で,声楽を専門に学ぶ特定個人の長期間での歌声変化解析への適用を試みる.その結果と声楽指導者の主観的評価との相違を考察した結果,声楽指導者の主観的評価と定量化した指標との相関が確認されたことから,歌声の習熟を評価する指標としての可能性を見出した成果について述べる.
著者
舘 伸幸 香山 瑞恵
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.24-29, 2019-01-25 (Released:2019-03-26)

「実践力」.昨今,情報技術に関連する教育課程でよく目にする言葉である.ソフトウェア開発分野において,はたしてこの「実践力」とは,具体的にどのような力だろうか.特に,新卒生や社会人若年層は,実際の開発現場でなにができたら実践力を発揮していると言えるのだろうか.本研究では,ソフトウェア開発分野における実践力について調査し,得られた結果から仮説を導き,実際に教材を試作試行して,効率よく実践力を学ぶための方法を提案することを目的としている.我々は社会で実践力を発揮して活躍している人々へのインタビューによる調査を進めており,現在のところ開発の現場で求められている実践力とは,一般的に言われるジェネリックスキルではなく,技術的問題を解決するための技術力であるという圧倒的意見を得ている.本稿では,その調査結果と,今後の展望について報告する.
著者
大谷 真 倉林 宏明 伊東 一典 橋本 昌巳 香山 瑞恵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.177, pp.29-34, 2013-08-09

バイノーラル方式による立体音響再生システムの再生系の一つとして,小数のスピーカとクロストークキャンセラを用いるトランスオーラル再生システムがある.ヘッドホン再生とは異なり,頭部及び耳介への装置の接触なしにバイノーラル信号を呈示できることがトランスオーラル再生の利点であるが,トランスオーラル再生で利用されるクロストークキャンセラが音像定位や聴覚による空間知覚において重要な役割を果たす頭部運動に対して頑健でないため,受聴者の頭部運動が制限されるという問題があった.そこで,我々は深度画像を利用した非接触ヘッドトラッキングを利用して,頭部運動に追従してクロストークキャンセラフィルタを更新する動的トランスオーラル再生システムを開発した.開発した動的トランスオーラル再生システムを用いた音像定位実験の結果から,頭部運動条件では,頭部静止条件よりも音像方向が高い精度で知覚され,開発したシステムが有効に働いていることが分かった.一方,音像距離については頭部静止条件の方が高い精度で知覚される場合が見られた.また,両条件において頭内定位はほとんど生じなかった.
著者
池田 京子 大谷 真 香山 瑞恵 東原 義訓 山下 泰樹 谷塚 光典
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

通常,正しい発声法は,熟達したプロのヴォイストレーナーによる個別訓練によってのみ習得できるとされており,このことが教育現場において,歌唱指導の壁となっていた。そこでこれまで研究代表者らが開発してきた「声の見える化技法」を応用したソフトウェアを開発し,改良を重ねた。また、それを用いた指導法を構築し、附属学校園での「歌唱指導」の授業実践を重ねてきた。これにより,児童・生徒たち自身が自分の声を評価し,友だち同士の相互評価ができ,プロのヴォイストレーナーがいなくても,自分たちが目的を設定することで,主体的な学びに発展させるシステムの端緒を構築した。
著者
西澤 達夫 井上 裕翔 大谷 真 橋本 昌巳 香山 瑞恵 伊東 一典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.55-60, 2012-10-20

タッチパネルは,画面に触って直接操作が可能なため,GUIとの組み合わせで多くの機能を実現できる直感的な使い易いインタフェースとして普及が加速している.一方で視覚障害者にとっては,表面が平らで,どこを触ったら良いのかが分からないため,使い難いインタフェースとして敬遠されてきた.しかし,スマートフォンを始めとして,視覚障害者のタッチパネル搭載機器に対する利用要求が,今後益々高まるものと予測される.本研究では,指でタッチパネルを触った位置を,HRTFを用いた聴覚ディスプレイでフィードバックすることで,視覚障害者によるタッチパネルの操作性改善の可能性を検討したので報告する.
著者
大西 純平 竹内 瞬 橋本 昌巳 伊東 一典 香山 瑞恵 為末 隆弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.219, pp.19-24, 2008-09-18
被引用文献数
1

重度障害者とのコミュニケーション手法として透明文字盤がある。この手法では文字盤をはさんで障害者と介護者が対面し、文字盤を動かして障害者の注視文字と介護者の視線を一致させることで、障害者の注視文字を見出している。我々は、この手法をPC上で模擬した視線入力システムを開発している。ウェブカメラにより撮影した眼の画像から画像処理により虹彩位置を求めて視線検出を行い、その方向に応じてディスプレイ上の文宇盤を移動して、選択エリアに注視文字を導いている。入力文字の確定にはまばたきを利用している。
著者
永田 奈央美 香山 瑞恵 魚田 勝臣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.25-30, 2005-03-15

本研究では科目「情報リテラシ」を対象とし、構成主義に基づく授業設計を行った。学習者が自律的かつ主体的に情報活動をするために、学習者自身の考えの表出を促すような問いかけや学習者間で各自の考えを比較することによる気づきの誘発を取り入れた授業を展開した。具体的には、構成主義に基づいたBIG(beyond the information given)モデルと正統的周辺参加を採用した。これを基盤として、シラバス・学習プロセス・学習ノート・学習支援ノートからなる学習活動の構築をし、ノービスとエキスパートを混ぜたグループで授業を行うという学習環境を設計した。本稿では、特に設計した授業の内容について詳述する。This research did the class design based on constructivism was done for the information literacy class. Concretely, I designed the component of "Syllabus, TDAC Process model, Study note, Study support note, TAEN community, Group study environment". In this text, this component is especially described.