著者
草場 正彦 櫻井 卓郎 角田 明子 梅崎 成子 村川 雄一朗
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.277-284, 2020 (Released:2020-10-08)
参考文献数
30

近年,悪性脳腫瘍患者に対する終末期ケアの重要性が報告されている.終末期脳腫瘍患者と関わるうえで,患者の呈する症状を知ることは重要である.本研究の目的は,終末期脳腫瘍患者のデータ収集方法や評価時期,症状を調査することである.抽出された論文は7本であり,データ収集方法は診療録からの情報収集(4本),質問表(2本),電話での調査(1本)であった.評価時期は,死亡までの期間が46日から1週間前であった.患者の呈する症状は疾患特異的な症状と,終末期のがん患者が呈する一般的な症状に分類することができた.疾患特異的な症状である意識障害(4本),痙攣発作(7本),嚥下障害(6本),頭痛(6本)を報告した論文が多かった.終末期に近づくほど,嚥下障害の出現率は高くなった.以上より,データ収集方法や評価時期は先行研究ごとで異なり,終末期脳腫瘍患者は疾患特異的な症状を呈する可能性が高いことが示唆された.
著者
櫻井 卓 上山 憲司 大里 俊明 荻野 達也 遠藤 英樹 御神本 雅亮 高平 一樹 浅野目 卓 中村 博彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.748-753, 2016
被引用文献数
3

<p> 慢性硬膜下血腫は脳神経外科領域で遭遇する機会の多い疾患であり, 治療法としては穿頭術が標準的な治療となっている. 血腫の排液により症状の改善を認め, おおむね良好な成績を得ているが, 術後血腫の再発をまれならず経験する. 今回当院で経験した慢性硬膜下血腫の再発危険因子を検討し文献的考察を加えて報告する.</p><p> 2014年1月1日~2015年7月31日に当院で手術を施行した慢性硬膜下血腫187症例 (222手術例) を対象とし, 患者因子, CT所見について後方視的に比較した.</p><p> 再発は187症例中26症例に認め, 再発率は13.9%であった. 統計学的に有意差 (p<0.05) を認めた再発危険因子は, 患者因子では年齢, 高血圧の既往, 抗凝固薬の内服であった. 術前CT所見では, 血腫量, 正中偏位, ニボーであった. 術後CT所見ではday 1, 7での血腫縮小率であった.</p><p> 再発を起こす例は術後1週間で血腫がすでに増大していることが多く, 術後翌日から1週間後にかけての血腫増大または増大率により, 再発を早期に予測できると考えられる.</p>