著者
山澤 恵理香 大野 誠 里見 介史 吉田 朗彦 宮北 康二 高橋 雅道 浅野目 卓 里見 奈都子 成田 善孝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-32, 2019 (Released:2019-01-25)
参考文献数
12

Multinodular and vacuolating neuronal tumor of the cerebrum (MVNT) は比較的新しい疾患概念のため, 長期観察された報告は少ない. 今回われわれは再発なく5年経過した自験例と, これまでに報告された31例を対比しながら, MVNTの画像所見・治療経過をまとめた. これまでのところ年齢中央値は41歳であり, 男女差はない. 病理組織のみでなく画像上も結節を認めるものが約半数存在した. MVNTの症候性てんかんは手術により改善することが多い. これまでのところMVNTの悪性転化は報告されておらず, MVNTの予後は良好である.
著者
石川 耕平 佐藤 憲市 伊東 民雄 尾崎 義丸 浅野目 卓 山口 陽平 石田 裕樹 石塚 智明 岡村 尚泰 渕崎 智紀 谷川 聖 田中 伸哉 中村 博彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.688-693, 2017 (Released:2017-09-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

Tumefactive multiple sclerosis (MS) は広範な浮腫や巨大な病変を形成することから, 脳腫瘍と鑑別が困難な例が多い. 本症例は66歳男性で右上下肢の単純部分痙攣発作で発症した. 左前頭葉の病変は画像上悪性グリオーマが疑われ摘出術が行われたが, 病理検査で脱髄性の所見や広範な出血および壊死像, Creutzfeldt cellを認めたことからtumefactive MSの診断に至った. 診断には病理検査が決定的となるが, 画像上病変部の血流上昇を認めないことが悪性グリオーマとの鑑別点と考えられた.
著者
櫻井 卓 上山 憲司 大里 俊明 荻野 達也 遠藤 英樹 御神本 雅亮 高平 一樹 浅野目 卓 中村 博彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.748-753, 2016
被引用文献数
3

<p> 慢性硬膜下血腫は脳神経外科領域で遭遇する機会の多い疾患であり, 治療法としては穿頭術が標準的な治療となっている. 血腫の排液により症状の改善を認め, おおむね良好な成績を得ているが, 術後血腫の再発をまれならず経験する. 今回当院で経験した慢性硬膜下血腫の再発危険因子を検討し文献的考察を加えて報告する.</p><p> 2014年1月1日~2015年7月31日に当院で手術を施行した慢性硬膜下血腫187症例 (222手術例) を対象とし, 患者因子, CT所見について後方視的に比較した.</p><p> 再発は187症例中26症例に認め, 再発率は13.9%であった. 統計学的に有意差 (p<0.05) を認めた再発危険因子は, 患者因子では年齢, 高血圧の既往, 抗凝固薬の内服であった. 術前CT所見では, 血腫量, 正中偏位, ニボーであった. 術後CT所見ではday 1, 7での血腫縮小率であった.</p><p> 再発を起こす例は術後1週間で血腫がすでに増大していることが多く, 術後翌日から1週間後にかけての血腫増大または増大率により, 再発を早期に予測できると考えられる.</p>