- 著者
-
櫻井 文教
水口 裕之
- 出版者
- 日本DDS学会
- 雑誌
- Drug Delivery System (ISSN:09135006)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.1, pp.24-30, 2023-01-25 (Released:2023-04-25)
- 参考文献数
- 24
がん細胞特異的に感染し、がん細胞を死滅させることで抗腫瘍効果を示す腫瘍溶解性ウイルスが、次世代の抗がん剤として大きな注目を集めている。2021年には、わが国においても腫瘍溶解性ヘルペスウイルスが承認(条件および期限付き承認)を受けた。一方で腫瘍溶解性ウイルスは、それ自体が自然免疫を活性化させるとともに、がん細胞よりDamage-associated molecular patterns(DAMPs)やがん抗原を放出させることで抗腫瘍免疫を活性化し、それが腫瘍溶解性ウイルスの抗腫瘍効果に大きく寄与することが明らかとなってきた。また、腫瘍溶解性ウイルスと免疫チェックポイント阻害剤などのがん免疫療法との併用が、高い相乗効果を示すことも報告されている。本稿では、腫瘍溶解性ウイルスによる抗腫瘍免疫活性化とがん免疫療法との併用療法について紹介したい。