著者
成田 正直 阪本 正博 秋野 雅樹 武田 忠明 今村 琢磨 飯田 訓之
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.277-283, 2011-07-15
参考文献数
11
被引用文献数
2

2009年度における北海道のホタテガイの生産量は44万9千トン、生産金額は476億円で、これは北海道の魚種別生産量の約3割、生産額の約2割を占める.ホタテガイは1970年代に天然採苗技術や中間育成技術が確立され、その後、オホーツク海での地まき放流の拡大などにより、生産を増大させてきた.しかし、生産量の増大とともに価格は低下し、1990年代前半から低迷している(図1). ホタテガイの主な加工品目は冷凍貝柱、生鮮貝柱、ボイル冷凍、乾貝柱で(図2)、生産量の割に加工品の種類が少ないことが、魚価低迷の一因とされる.特に冷凍貝柱と生鮮貝柱への仕向け割合が高く(66%)、これらのアメリカ向けを中心とした輸出がホタテガイ価格の底支えを行っている. 北海道立総合研究機構水産研究本部(旧北海道立水産試験場)では、ホタテガイの付加価値向上と需要拡大を図るため、これまで多くの技術開発を行ってきた.この中では、生鮮貝柱の高鮮度流通技術の開発や乾貝柱の品質向上技術など既存製品の高品質化、生産の効率化とともに、新たな製品の企画、開発を行ってきた.その中で、最近製品化されたものとして、ホタテガイ貝柱フレーク(以下、貝柱フレーク)とホタテガイ貝柱の飯寿し(以下、ホタテ飯寿し)がある.本稿では、これら新規製品の基本的製法の確立、技術的改良から、企業移転を図るまでの経過を紹介する.
著者
武田 忠明 錦織 孝史 住吉 真帆 韓 立坤 奥田 拓道
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.381-386, 1999-12-10
参考文献数
21
被引用文献数
3

サケCSは, 膵リパーゼの脂肪分解作用およびラット小腸刷子縁膜小胞への脂肪酸の吸収を濃度依存的に抑制した。また, 高脂肪食を投与した肥満マウスに対して, 高脂肪食にサケCSを添加した群で, 体重, 生殖器周囲脂肪組織重量および肝臓組織重量の低下が認められた。さらに, サケCS添加食群では, 肝臓中のTGおよびCHOL含量, 血清中のTG, CHOLおよびFFA含量の低下が認められた。以上のことから, サケCSは, 高脂肪食により誘発される肥満, 脂肪肝, 高脂血症に対して, 抑制効果を示すことが示唆された。この作用機序の一つとして膵リパーゼによるTGの加水分解抑制と脂肪酸の腸管吸収抑制によることが推察された。
著者
武田 忠明 真嶋 光雄 奥田 拓道
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.213-217, 1998-08-10
参考文献数
10
被引用文献数
6

サケ鼻軟骨よりサケCSを白色粉末として調製した。次いで, このサケCSの一部をヒアルロニダーゼで消化し, その消化産物は二糖から十糖までの糖鎖長の異なる偶数オリゴ糖の混合物であることを確認した。得られたサケCSおよびそのオリゴ糖混合物に対して, ラットの空腸刷子縁膜小胞を用い, それら糖鎖のGlc腸管吸収阻害活性を検討した。その結果, オリゴ糖サイズのサケCSは native なものに比して, Glcの腸管吸収阻害活性の低減することが示された。したがって, 難消化性高分子物質としてのサケCSは,Glcの腸管吸収を阻害して肥満の改善作用をもつことが示唆された。