著者
武者 宗一郎 越智 紘
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.202-207, 1965-03-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

滴下法によって展開溶媒を供給して展開を行なう円形薄層クロマトグラフィー用の展開装置を考案・試作し,その適用例としてアミノ酸類の分離および同定のための諸条件を検討した.吸着層には厚さ0.2mmのシリカゲルおよびアルミナの円形クロマトプレートを用い,展開溶媒は前者にはフェノール-水(75:25,w/w),後者にはn-ブタノール-氷酢酸-水(40:10:50,v/v)を使用した.試料溶液は円形クロマトプレートの中心かあるいは半径10mmの円周上の数点に点じ,その中心へ展開溶媒を供給して展開後ニンヒドリンで発色すれば,各アミノ酸は同心円状もしくは弧状の細い分別帯を与える.本手法を数種の天然物質中に含有されるアミノ酸類の定性分析に応用し,展開距離約90mmでほぼ満足に応用可能なことを知った.展開所要時間は約180分であった.
著者
武者 宗一郎
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.723-724, 1986-07-01
著者
安部 巌 和泉 圭二 倉本 成史 武者 宗一郎
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.427-431, 1982-08-05
被引用文献数
2

屋久杉をその年輪に沿って紬かく裂き,外皮側より1084年から1474年内での8箇所でそれぞれ,アミノ酸を分離し,光学活性固定相を用いたガラスキャピラリーガスクロマトグラフィーでその挙動を観察すると,アラニン(Ala),バリン(Val),アスパラギン酸(Asp),フェニルアラニン(Phe)の4種がラセミ化しており,特にAspでは年輪の増加に伴うD/L比の規則的な増大がみられた.屋久杉年輪の年代はAsp D/L比よりの次の2方式すなわち(I)1本の年代を既知として作成した検量線,及び(II)2本の年代を既知として作成した検量線,により求め,年輪年代との比較を行った.推定値標準誤差は,それぞれ(I)39.8年,(II)29.6年となり,方式(II)は年輪年代により接近した測定年代を示した.
著者
武者 宗一郎 高橋 芳久
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.365-370, 1975-06-10
被引用文献数
1 7

大豆たんぱく質がカルシウムやマグネシウムなどの塩類もしくは、酸類などの添加により凝固すること、及び一般にたんぱく質が重金属イオンと錯体形成する性質を利用し、水中の微量金属を捕集濃縮することを目的として発光分光分析の技法を用いて検討した。試料水に捕集剤として一定量の豆乳及び凝固剤として所定量の δ-グルコノラクトンを加えて加熱したんぱく質を凝固させた。この凝固物 (豆腐) に捕集濃縮された金属を発光分光分析した。その結果、用いた大豆中に検出されない金属元素のうち、金、銀、水銀、白金、ベリリウム、バリウム、カドミウム、ガリウム、セリウム、イットリウム、ランタン、インジウム、パラジウム、アンチモン、トリウム、ジルコニウムなどの捕集濃縮に応用しうることを明らかにした。
著者
武者 宗一郎 高橋 芳久
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.395-399, 1975
被引用文献数
1

大豆たんぱく質が酸などの添加により凝固する性質及び重金属イオンと錯体形成する性質を利用して,水中の微量の金を捕集濃縮することを検討した.試料水に一定量{(10~30)ml}の豆乳(6.34%)及び凝固剤δ-グルコノラクトン(δ-GLと略記)の所定量を加えて加熱し,たんぱく質を凝固させ金を捕集する.凝固物(豆腐)を低温灰化後,原子吸光又は発光分光分析法により金を定量した.金の捕集率はたんぱく質の凝固が最もよく起こるpH4.4~5.0付近になるように適量のδ-GLを加えた場合,99%以上の最大値を示した.本法を水,人工海水,食塩水及び食塩中の超微量の金の定量に応用し満足すべき結果を得るとともに,分析の実行に伴う環境汚染問題に関し,写真操作を除いて全く問題がない点を確認した.