著者
門馬 久美子 前田 有紀 梶原 有史 森口 義亮 酒井 駿 野間 絵梨子 高尾 公美 田畑 宏樹 門阪 真知子 鈴木 邦士 千葉 哲磨 三浦 昭順 堀口 慎一郎 比島 恒和
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.530-543, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・スクリーニング検査時に,良性腫瘍に関する予備知識があれば,腫瘍発見時の対応,適切な方法での組織採取が行える.・内視鏡検査にて隆起性病変を認めた場合は,存在部位,形態,表面性状,色調,硬さ,透光性,可動性,大きさ,個数,びらんや潰瘍形成の有無などを観察し,必要があればEUSの所見も加え,質的診断を行う.・最終的には,病理組織学的な診断が必要であるが,上皮が滑って生検しにくい場合は,ボーリング生検あるいはEUS-FNABにて,腫瘍本体を採取する.特に,2cmを超える腫瘍では良悪性の鑑別が必要である.・画像だけでは診断できないGIST,平滑筋腫,神経鞘腫の鑑別には,c-kit・desmin・S-100蛋白の3種類の免疫組織化学的検査が必要である.
著者
前田 将宏 三浦 昭順 宮本 昌武 加藤 剛 出江 洋介 中野 夏子 比島 恒和
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.565-571, 2010-05-01 (Released:2011-12-27)
参考文献数
24

症例は23歳の男性で,インド旅行帰国後の下痢・腹痛・嘔吐を主訴に受診,CTにて回盲部腸重積症と診断し,同日緊急手術を施行した.術中所見では回盲部腸重積症を認め,用手的に整復が可能であった.しかし,盲腸は腫大し腫瘤様に触知され,周囲の腸間膜リンパ節の腫大も認められたため悪性病変も否定できず回盲部切除術を施行した.病理組織学的診断では,パイエル板の著明な肥厚と盲腸の鬱血・浮腫性変化を認め,非特異的腸炎の診断であった.後日,便培養からカンピロバクター(Campylobacter jejuni)および赤痢菌(Shigella flexneri)が検出され,細菌性腸炎関連性腸重積症と診断した.発生機序は回盲部の解剖学的要因に加え,急激な回盲部粘膜の炎症性変化に伴う先進部形成に腸管蠕動異常亢進が契機となったと考えられた.保存的治療の報告例もあり,細菌性腸炎が腸重積症の一因となることを認識し治療にあたることが肝要である.