著者
清水口 涼子 飯塚 敏郎 髙雄 暁成 柴田 理美 夏目 壮一郎 髙雄 美里 山口 達郎 中野 大輔 堀口 慎一郎 小泉 浩一
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.30-34, 2021-12-03 (Released:2022-01-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

閉塞性大腸癌においてBridge to surgery(BTS)を目的とした大腸ステント留置は,一期的吻合を可能にする有効な減圧処置であると同時に,閉塞解除により深部大腸を含めた全大腸内視鏡検査を可能にする.そこで当院におけるBTS目的の大腸ステント留置症例を対象として,同時性多発病変の発見を目的とした全大腸内視鏡検査の有用性および安全性を検証した.対象は,ステント留置した129例中,ステント留置後に術前の全大腸内視鏡検査を施行した94例(73%)であった.同時性多発大腸癌の合併例を30例(32%)に認め,病変数は47病変であった.ステント口側に22病変,肛門側に25病変認め,早期癌が42病変,進行癌が5病変であった.26病変は主病変と同時の外科切除,12病変は術前内視鏡治療,8病変は術後内視鏡治療を施行した.内視鏡治療施行した症例は根治切除が得られた.ステント留置に伴う偶発症は1例も認められなかった.ステント留置後の術前全大腸内視鏡検査は併存病変の診断や切除範囲の決定に有用と考えられ安全に実施することが可能であった.
著者
門馬 久美子 前田 有紀 梶原 有史 森口 義亮 酒井 駿 野間 絵梨子 高尾 公美 田畑 宏樹 門阪 真知子 鈴木 邦士 千葉 哲磨 三浦 昭順 堀口 慎一郎 比島 恒和
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.530-543, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・スクリーニング検査時に,良性腫瘍に関する予備知識があれば,腫瘍発見時の対応,適切な方法での組織採取が行える.・内視鏡検査にて隆起性病変を認めた場合は,存在部位,形態,表面性状,色調,硬さ,透光性,可動性,大きさ,個数,びらんや潰瘍形成の有無などを観察し,必要があればEUSの所見も加え,質的診断を行う.・最終的には,病理組織学的な診断が必要であるが,上皮が滑って生検しにくい場合は,ボーリング生検あるいはEUS-FNABにて,腫瘍本体を採取する.特に,2cmを超える腫瘍では良悪性の鑑別が必要である.・画像だけでは診断できないGIST,平滑筋腫,神経鞘腫の鑑別には,c-kit・desmin・S-100蛋白の3種類の免疫組織化学的検査が必要である.
著者
萩原 千恵 北川 大 堀口 慎一郎 山下 年成 黒井 克昌
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.2130-2135, 2014 (Released:2015-02-28)
参考文献数
22
被引用文献数
1

乳腺matrix producing carcinoma (以下MPC)の2症例を経験したので報告する.症例1は51歳女性.左乳癌T2N0M0 Stage IIAの診断で乳房切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理診断はMPC,pT2,ER(-),PgR(-),HER2(-),sn0/2.術後TC療法を4コース施行し,術後4年5カ月の時点で無再発生存中である.症例2は48歳女性.左乳癌T1N0M0 Stage Iの診断で乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理診断はMPC,pT2,ER(-),PgR(-),HER2(-),sn0/4.術後,治験(BEATRICE試験)に参加し,EC療法4コースとBevacizumabを投与したが,術後12カ月で多発肺・骨・肝転移が出現した.その後,weekly paclitaxelを開始したが奏効せず術後1年6カ月で永眠された.
著者
岩本 奈織子 鈴木 瑞佳 高木 康伸 堀口 慎一郎 有賀 智之
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.114-118, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
22

BRCA1/2遺伝学的検査は,PARP(Poly ADP-ribose polymerase)阻害薬のコンパニオン診断から遺伝性乳癌卵巣癌(hereditary breast and ovarian cancer;HBOC)の診断まで広く晋及しつつある.今後,BRCA1/2遺伝学的検査数の増加と,それに伴いBRCA1/2病的バリアント保持者の増加が見込まれる.BRCA1/2病的バリアント保持者では,年に1回の乳房造影MRI検査でのサーベイランスが推奨されている.MRIでのみ描出される病変に対しては,MRIガイド下生検(MRI-guided vaccuum-assist biopsy;MRI-VAB)が必要となるため,MRIを行う際にはMRI-VABが可能な施設との連携が望ましいとされている.しかしながら,実際に保険診療でMRI-VABを行っている施設は少ない.当院では2022年6月からMRI-VABを開始し,2023年5月までの期間においてMRI-VABを6例に施行した.患者の年齢は30~60代であり,半数は悪性であった.1例は,BRCA2病的バリアント保持者で非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ;DCIS)と診断されたHBOC症例であった.今回,われわれはMRI-VABの導入時に必要であった準備と過程を報告する.