著者
水川 喜文
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.9, pp.187-198, 1996-06-05 (Released:2010-04-21)
参考文献数
37

This paper provides how the development of ethnomethodology has correspond to today's analytic philosophy or neo-pragmatism.First, we consider a sociologist's discussion that describes the connection between ethnomethodology and phenomenology/ordinary language and we find some points neglected in his discussion. Second, this paper introduces Rorty's argument on the linguistic turn and the correspondence of it to Garfinkel's approach.Finally, we discuss Garfinkel's respecification of order has some origins and parallel flow to analytic and philosophy neo-pragmatism. This result would reflect a vision for an alternative respecification of society.
著者
中村 和生 浦野 茂 水川 喜文
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.65-75, 2018-01-31 (Released:2019-02-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本稿は、当事者研究、すなわち日常生活を送っていくにあたり何らかの苦労や困難を持つ人々による自分たち自身を対象とした共同研究(我々のデータでは、精神障害を持つ人々のグループセッション)という実践を主題とする。そして、このグループセッションという相互行為において、ある者が当事者をする中でファシリテーターを担っていることに注目し、このことの意義ならびに、そのような担い手によるいくつかのやり方を解明することを目的とする。ときに、この担い手はファシリテーターから離れた参加者としてもふるまうが、これがいかにして可能であり、また、その可能性の下でどのように首尾よく成し遂げられているのかを検討し、プレセッションにおいてすべての参加者が行う、自己病名の語りを通した自己紹介によって当事者としての共成員性が確立することを見いだす。また、このファシリテーターはどのように発言の順番をデザインしているのかを分析し、ファシリテーターはほぼすべての順番を自己選択で取り、またしばしば次話者選択をする一方で、次話者選択しない場合にも、状況に応じた適切な指し手を繰り出していることを見いだす。
著者
浦野 茂 水川 喜文 中村 和生
出版者
三重県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、発達障害者(とりわけ広汎性発達障害の小学生高学年の児童)の療育場面の相互行為の構造を、社会生活技能訓練(SST)を事例としながら、エスノメソドロジー・会話分析の手法によって解明することである。この結果、次が明らかになった。 (1)療育場面は、 児童の積極的参加を不可欠な資源とした相互行為として構成されている。(2)療育場面の相互行為の中心的部分は、参加者の行為上の問題を積極的に可視的にする技術と、それによって可視化された問題に対して参加者が療育者とともに修復していく実践から、成り立っている。(3)療育場面は、一方で児童の積極的な参加に依拠しながらも、他方でその行為を問題の顕れと修復の実行という観点のもとで療育者によって受け止められていくという、強い制約をもつ。したがって今後の課題は、こうした制約から自由な、発達障害者への支援実践について検討することとなる。