著者
伊藤 大輔 野場 悠佑 水野 幸治
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.838-843, 2019 (Released:2019-05-24)
参考文献数
14

Aピラー衝突時の自転車用ヘルメットによる脳傷害軽減メカニズムについて有限要素解析により検討した.ヘルメットを着用した人体モデルを自転車に着座させ,車両と衝突させたところ,多くの場合でヘルメットにより脳ひずみが軽減したが,脳傷害発生リスクが軽減されない場合もあった.その原因を力学的観点から分析した.
著者
伊藤 大輔 笈田 桂治 小林 吾一 水野 幸治 吉田 良一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.455-460, 2015 (Released:2018-01-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3

歩行者頭部インパクト試験と有限要素解析により,A ピラーへの頭部衝突に対するヘルメットの頭部保護効果を検討した.頭部インパクタ試験を実施した結果,HIC はヘルメット着用で減少したが,3000 を超えていた.ヘルメットを装着した人体頭部モデルによる解析では頭蓋骨の骨折は発生しなかったが脳のひずみが大きな値となった.
著者
松井 靖浩 高橋 国夫 西本 雄俊 水野 幸治 一杉 正仁 中根 大祐 和波 真吾
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.1017-1022, 2010

歩行者が車両に衝突される際の胸部傷害が発生する要因を解析している.ボンネット車と1BOX車について,車対歩行者の有限要素解析を実施し,車体の形状や構造と,歩行者の挙動や胸郭の変形・応力との関係を調べた.また,頭部インパクタを用いた衝撃試験シミュレーションから胸部傷害評価の可能性も調査した.
著者
水野 幸治
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.35-41, 2009-02-01
被引用文献数
2

子どもは人体計測や解剖学的構造が大人とは異なるため,自動車衝突時に子どもに特徴的な傷害が発生する.子どもの生体力学データは限られているため,大人からのスケーリングによって子どもの傷害基準値が求められている.衝突時に子どもを保護するための拘束装置としてチャイルドシートが用いられており,事故データからもその有効性が確認されている.最近はチャイルドシートの車体への取付方法として誤使用の頻度の少ないISOFIXが普及し始めている.
著者
水野 幸治 三木 一生 山本 創太 田中 英一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では,CRS使用時の小児の傷害の詳細解析を目的とし,成人人体有限要素モデルTHUMS AM50のスケーリングに基づき,3歳児FEモデルを作成した.3歳児の人体計測値に基づき,身体各部位におけるスケールファクターを求め,AM50モデルに対して形状のスケーリングを行った,その結果,3歳児の人体計測値との誤差が10%程度であり,3歳児の形状を表した人体FEモデルを作成することができた.3歳児の骨の材料特性は文献を基に骨の弾性係数,破断強度,ひずみを求め,小児の骨の応力-ひずみ曲線を推定した.この推定した3歳児の特性から,3点曲げ解析を実施し,実験結果とよく一致した.3歳児FEモデルの衝撃応答を3歳児ダミー校正要件を用いて検証した.特にCRSの拘束に関連する胸部,腰部の特性に対して検証を行った.本モデルは衝突ダミーの胸部応答要件を満たし,さらにダミーよりも死体に近い応答を示した.すなわち,本モデルでは衝突ダミーよりも詳細に人体の胸部傷害メカニズムを再現できる可能性がある.3歳児FEモデルを用いシールドタイプのチャイルドシート(CRS)による衝撃解析を行った.3歳児FEモデルではシールドにより荷重を受けた胸椎を中心に体幹が屈曲した.衝突ダミーでは腰椎で体幹が屈曲した.本モデルの応答は,衝突ダミーよりも死体の応答に近く,人体挙動を再現していると考えられる.さらに軟部組織の応力について検討した結果,シールドタイプのCRSでは胸部の圧迫により,胸部内臓傷害の危険性があることがわかった.本研究で開発した3歳児人体有限要素モデルを用いることで,従来,困難であった子供の骨折などの詳細な傷害の評価,CRSの拘束方法の評価が可能となり,本モデルが傷害再現のための有効なツールであることが示された.さらにこのモデルにより,子供の解剖学的特長及び傷害メカニズムを考慮したCRSの設計開発のための有用な知見が提供できると考えられる.