著者
水間 美宏 渡邊 能行
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.55-61, 2011 (Released:2011-02-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

腹部超音波がん検診の精度を文献的に明らかにするとともに, 精度を明らかにする上での問題点について述べた。精度を示した文献を抽出するため, 医学中央雑誌WEB版とPubMedを利用するとともに, 日本消化器がん検診学会雑誌を閲覧した。抽出した文献ごとに, 感度, 特異度, 陽性反応適中度とその信頼区間を求めた。その結果, 腹部超音波がん検診の感度はおよそ80%, 特異度はおよそ95%, 陽性反応適中度は1~9%であった。文献によって腹部超音波がん検診の精度に差がある原因として, 人数の数え方, 対象臓器, 診断装置, 検者, 走査法, 検査時間, 記録法, 読影方法, 判定基準, 偽陰性の定義, 発見がんの定義が異なることがあげられ, その基準化が望まれる。また, 精度の把握方法も異なっており, 今後は, がん登録との照合が容易に行えるよう, わが国の地域がん登録の登録精度が向上することを期待したい。
著者
早雲 孝信 東 健 中島 正継 安田 健治朗 趙 栄済 向井 秀一 水間 美宏 芦原 亨 水野 成人 平野 誠一 池田 悦子 加藤 元一 徳田 一 竹中 温 泉 浩 井川 理 青池 晟 川井 啓市
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1539-1544, 1991 (Released:2007-12-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2

ras遺伝子は, そのpoint mutation により活性化される癌遺伝子として知られている. 今回, われわれは oligonucleotide hybridization assay を用いて,大腸癌86例における K-ras codon 12, 13のpoint mutation の有無について検索した. その結果, codon 12に32例, codon 13に1例の33例 (38%) に point mutation を認めた. 変異の比率を腫瘍の存在部位, 組織型, 深達度, リンパ節転移, ステージ分類別に検討したが, 有意な関係は認められなかつた. しかし, 深達度mやsmといつた早期の癌においても高頻度に変異が検出され, ras遺伝子の point mutation が癌の進行過程というよりも発癌の過程に関係していることが推察された.