著者
安 柄九 大垣 雅晴 泉 浩 竹中 温 柿原 直樹 飯塚 亮二 北村 誠
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.837-840, 2004-05-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
13

今回われわれは, S状結腸捻転に対する緊急手術の術後に, 悪性症候群を発症し, 急激な経過をたどり死亡した1例を経験したので報告する. 症例は54歳男性. 18歳より統合失調症にて入院加療中, 突然の嘔吐, 腹痛を主訴に当院へ救急搬送された. 腹部単純X線検査・腹部CT検査では拡張したS状結腸を認めた. 緊急開腹手術を施行したところ, S状結腸は著明に拡張し, 時計回りに180度捻転していた. 術後5日目白血球数は正常化していたにもかかわらず40℃台の稽留熱, さらに錐体外路症状を認めたため, 悪性症候群と診断した. 大量輸液療法, および全身冷却療法にて対応したが, 心肺停止となり, 術後5日目に死亡した. 剖検では全身臓器および骨格筋には病理組織学的所見は認められなかった. 抗精神病薬, 抗うつ薬内服中の患者において解熱薬抵抗性の高熱を認めた場合, 悪性症候群を念頭におく必要があると考えられた.
著者
宮田 圭悟 藤井 宏二 高橋 滋 竹中 温 李 哲柱 竹内 義人
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.3073-3076, 2001-12-25

右卵巣癌摘除後に発生した,左頸部転移および放射線照射後の上肢浮腫に対して,左胸肩峰動脈から鎖骨下動脈に向けて動脈注入用カテーテルを挿入し皮下リザーバーを留置,週1回4時間かけてグリセオール200mlを55回持続動脈注入したところ,左上肢は軟化し周径の縮小をみとめた.<br> ハドマー,マイクロ波照射にても軽快しない難治性上腕浮腫に対して,在宅グリセリン動脈注入療法は有用であった.
著者
早雲 孝信 東 健 中島 正継 安田 健治朗 趙 栄済 向井 秀一 水間 美宏 芦原 亨 水野 成人 平野 誠一 池田 悦子 加藤 元一 徳田 一 竹中 温 泉 浩 井川 理 青池 晟 川井 啓市
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1539-1544, 1991 (Released:2007-12-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2

ras遺伝子は, そのpoint mutation により活性化される癌遺伝子として知られている. 今回, われわれは oligonucleotide hybridization assay を用いて,大腸癌86例における K-ras codon 12, 13のpoint mutation の有無について検索した. その結果, codon 12に32例, codon 13に1例の33例 (38%) に point mutation を認めた. 変異の比率を腫瘍の存在部位, 組織型, 深達度, リンパ節転移, ステージ分類別に検討したが, 有意な関係は認められなかつた. しかし, 深達度mやsmといつた早期の癌においても高頻度に変異が検出され, ras遺伝子の point mutation が癌の進行過程というよりも発癌の過程に関係していることが推察された.
著者
石井 亘 藤井 宏二 飯塚 亮二 下間 正隆 泉 浩 竹中 温
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.2969-2973, 2007

症例は72歳, 女性. 左乳房のしこりを自覚. 初診時, 左乳房D領域にしこりを1個, 同側腋窩リンパ節腫大を認めた. CT上, 腫瘍本体の長径は34mm, 乳頭腫瘍間距離は30mmであった. 同側腋窩リンパ節の長径は, 25mmであった. informed-consentを行った結果, 経口抗癌剤併用療法を術前に3コース行い, CT上の腫瘍は長径8mmと著名な縮小を認め温存手術を可能にしえた. 以前より当院では, 乳癌患者の経口併用抗癌剤として, DMpC療法 (Doxifluridine+Cyclophosphamide+Medroxyprogesterone acetate) を行ってきた. TS-1がこれまでの経口フッ化ピリミジン系抗癌剤と比較して抗腫瘍効果が高く, 外来治療が可能であるため, DoxifluridineをTS-1に置き換えることによってより高い治療効果が期待される. 現在われわれは, 進行・再発乳癌に対する経口併用化学療法 (TS-1+Cyclophosphamide+Medroxyprogesterone acetate) の第I/II相臨床試験を進行中である.